こんにちは。
晴田そわかです。
以前、水彩画に関する記事では、水彩画の塗り方のコツについて紹介させて頂きました。
今回の記事では《小学生も簡単に描ける!水彩画の上手な影の描き方の四つのポイント》について紹介させて頂きます。
水彩画における上手な影の描き方
ポイント①影の色合い《黒は基本的にNG》
影の色は通常、元の物体の色よりも暗く、青みがかった色合いが一般的です。影の色を作る際には、元の色に少量の青や紫を混ぜて暗くすると自然な影が表現できます。
また、影を作る際に黒の絵の具をそのまま使うと、 色調が硬くなり、作品全体の柔らかさや透明感が損なわれる可能性があります。黒は使わずに、 赤、青、黄色などの色を混合して自然な影を表現することがポイントとなります。
影の色を作る手順
〈1〉基本色への影の追加
最初に基本色を塗ります。その後、影を表現するために基本色に暗い色(例: 同じ色の濃いバージョン、または対比色)を混ぜて影部分を塗ります。
※ 基本色とは?
一般的には色彩の基本となるいくつかの色を指します。例えば、JISでは赤、黄、緑、青、紫、橙、黄緑、青緑、青紫、赤紫の10色を基本色として定義しています。
小学生の水彩画であれば、基本は赤、青、黄色の三原色です。
低学年の子どもさんであれば、この三色のなかから選ぶと良いと思います。
低学年の場合、たくさんの色を使いすぎると、色が混じってしまいかえって仕上がりが汚くなってしまうことがあります。
〈2〉透明度の利用
影を柔らかく見せるために、水彩絵具を水で薄めたり、透明な色で重ねたりして、影を自然な仕上がりにします。絵筆にたっぷりと水を含ませて、絵の具が濃くなりすぎないようにしっかり溶くことが大切です。
〈3〉影の配置を考える
影を描く際には光源の方向を考慮し、光の当たり方に応じて影を配置します。光が当たらない部分が暗い影となることが一般的です。
〈4〉レイヤーの使用
複数のレイヤーを使って影を重ねることで奥行きや立体感を表現することができます。最初に薄い影を描き、必要に応じて濃い影を追加して立体感を強調します。
※レイヤーとは?
複数の色や要素を透明な水彩絵の具で重ねて描く技法や手法を指します。水彩画では、透明水彩を重ねて描くことで色や濃淡を表現しますが、この際に複数の「レイヤー」を使うことで、色の混ざり合いや濃度をコントロールすることができます。
各レイヤーごとに乾燥させることで色の重なり具合や透明感を調節し、独特の表現を生み出すことができます。これにより、水彩画に奥行きや質感を与えることが可能となります。
※レイヤーを描く基本的な手順
①☆下地の準備
水彩画を描く紙に下地となる軽いスケッチを描きます。スケッチは軽く、後から消えるようなもので大まかな構図を示します。
②☆最初のレイヤー
最初の色を選んで、薄めた水彩で紙に色を塗ります。このとき、水を多めに使って薄い色で描くと次の色を塗る際に重なりやすくなります。
③☆完全に乾かす
各レイヤーを塗った後には、完全に乾かしてから次のレイヤーを描きます。乾かすことで色が混ざりすぎず、きれいな重なりを作ることができます。
④☆繰り返し
同様の手順で複数のレイヤーを描いていきます。色や形を重ねることで新しい色や質感を表現し、水彩画の奥行きや表現力を豊かにします。
⑤☆細部の仕上げ
最後のレイヤーでは細部やアクセントを加えて仕上げます。色や形の微調整を行い、全体のバランスを整えます。
⑥☆仕上げ
全体が完成したら、必要に応じてシグネチャを入れて作品を完成させます。
水彩画におけるレイヤー描写は、複数の色や形を組み合わせて表現するため、慎重な作業と色彩感覚が必要です。繊細な調整や重ね合わせによって、独自の表現を生み出すことができます。
ポイント②光源の方向
影を描く際には、光の位置と向きを考えることが大切です。光が差す方向から物体がどれだけ遠くにあるかによって、影の形や長さが変わります。
例えば、光が真上から差す場合、影は被写体の形に近い円形になります。一方、光が斜めから差す場合、影は伸びる方向に長くなります。
また、光源が高い位置にある場合、影は被写体の下に伸びて長くなります。逆に、光源が低い位置にある場合、影は被写体に近い位置になります。
ポイント③柔らかさと硬さ
影は柔らかい境界線を持つ場合もあります。特に diffused light(拡散光)の場合、物体からの影はぼかされていることが多いです。影の周囲をぼかすことで、立体感や柔らかさを表現できます。
※拡散光(Diffused Light)とは?
拡散光は、光が物体表面で散乱されて均等に広がる光のことです。
入射した光が物体表面で反射され、周囲に均等に広がる性質を持ちます。
ポイント④透明水彩の場合
透明水彩を使用して影を描く場合、薄い色で徐々に濃くしていくレイヤーを重ねることで自然な影を表現できます。また、水分を調節することで影の濃淡をコントロールできます。
四つのポイントを考慮しながら、光と影の関係や物体の形状を観察し、自然な影を表現する練習をすると、水彩画における影の描き方をより上達させることができますよ。
上手な影が描けるようになると、 立体感や奥行きをリアルに表現することができるようになります。
結果として、深みのある表現豊かな作品を仕上げることができます。
小学生の図工の授業でも、役立ちますよ。