こんにちは。晴田そわかです。
今回の記事では《【例文つき】中学生向け人権作文の感動エピソードの書き方とコツ》について紹介させて頂きます。
- 導入:感動ってどうやって書くの?
- 1. 「感動」の正体とは?〜無理に泣かせようとしなくていい〜
- 2. 感動エピソードを描く3つのコツ
- 3. 感動を生む作文の構成テンプレート
- 4. 実際の例文:中学1〜3年生別に紹介
- 5. よくあるNG例と改善ポイント
- 6. 保護者・先生にできるサポートとは?
- 7. まとめ:小さな気づきを感動に変える作文を
導入:感動ってどうやって書くの?
「人権作文って、“感動的に書くといい”って先生に言われたけど、どうしたら感動的になるの?」
「正直、泣けるようなすごい体験なんてないし……」
これは、多くの中学生が人権作文に取り組むときに感じる悩みです。保護者の方や先生も、「この子の体験は素晴らしいのに、うまく言葉になっていない」「もっと本人の気持ちを掘り下げられたら」と思ったことがあるのではないでしょうか。
この記事では、特別な経験がなくても、読んだ人の心に残る“感動的な人権作文”を仕上げる方法を、わかりやすいコツと実際の例文とともにご紹介します。中学生本人だけでなく、そっと支える保護者や先生にとっても、日々の会話や声かけに役立つ内容になっています。
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1. 「感動」の正体とは?〜無理に泣かせようとしなくていい〜

「感動」と聞くと、ドラマのような劇的な出来事や、思わず泣けるような話をイメージしてしまうかもしれません。けれど、作文で伝える“感動”は、大げさな話ではなくて大丈夫です。
感動のもとになるのは、共感と気づきです。
-
「ああ、この気持ちわかるな」と思える共感
-
「そんなふうに考えるなんて、すてきだな」と思える気づき
この2つが読んだ人の心を動かします。つまり、小さな出来事でも、そこに自分の気持ちの変化や相手への思いやりが込められていれば、それは立派な感動エピソードになるのです。
たとえば――
-
クラスで忘れ物をしたとき、さっと教科書を見せてくれた友だち
-
ちょっとしたことでけんかしてしまったあと、黙って席を隣にしてくれた子
-
通学中に見かけた車いすの人と、それを手伝う小学生
こういった「ふつうの中での出来事」が、作文で感動を呼ぶことはよくあります。無理に「感動させよう」とするのではなく、自分の心が動いた瞬間を見つけて、それをまっすぐ書くことが大切です。
2. 感動エピソードを描く3つのコツ

では実際に、感動的な作文を書くにはどうしたらよいでしょうか?大切なのは、以下の3つのポイントを押さえることです。
(1) 自分の気持ちを具体的に書く
「悲しかった」「うれしかった」など、感情を表す言葉だけでは、読み手に伝わりにくいことがあります。心が動いた瞬間を“描写”することがポイントです。
たとえば:
✕「悲しかったです」
〇「胸がギュッとなって、涙がこぼれそうでした」
✕「うれしかったです」
〇「思わず『ありがとう』がこぼれて、顔が熱くなりました」
このように、感情を体の反応や言葉で表現することで、読み手も一緒にその場にいるような気持ちになります。
(2) 相手の立場も想像して書く
作文では、自分のことばかりでなく、相手の気持ちを想像して書くと深みが出ます。
「きっとあのとき、友だちは……と思ってくれたのかもしれない」
「私が困っているのに気づいて、勇気を出して声をかけてくれたんだと思う」
こうした想像が、読み手の共感を引き出します。人権作文では、「相手を思いやる心」もとても大切な視点です。
(3) 小さな変化や成長を盛り込む
作文の中で、自分がどう変わったのか、何を学んだのかが書かれていると、読み手の心に残ります。
たとえば:
-
「あの日をきっかけに、困っている人に声をかけてみようと思いました」
-
「あの経験がなかったら、今の自分はいなかったと思います」
**「自分は何を感じ、どう変わったか」**という視点は、作文のまとめだけでなく、物語全体に感動を与える大切な要素になります。
3. 感動を生む作文の構成テンプレート

作文の内容が頭の中で固まってきたら、次は実際に構成を考えて書いていきます。感動的なエピソードをきれいにまとめるには、以下の4つのステップ構成を意識するとスムーズです。
【導入】体験したきっかけ・場面説明
どんな出来事を通して、その感動体験があったのかを簡単に説明します。
例:「それは、ある夏の日の放課後のことでした。」
【展開】そのときの出来事、葛藤、自分の気持ち
何が起こったのか、どんなことを感じたのかを中心に書きます。
例:「私は、心の中でモヤモヤを抱えていました。」
【クライマックス】相手の行動・自分の変化
出来事の中で心が一番動いた場面を丁寧に描きます。
例:「その子の一言で、私の心がすーっと軽くなったのです。」
【まとめ】気づき・学んだこと・これからどうしたいか
この経験を通して得た気づきや、今後どう行動したいかを伝えます。
例:「私も、あのときの友だちのように、誰かを助けられる人になりたいです。」
このテンプレートに沿って書くと、話の流れが自然で読みやすく、感情も伝わりやすくなります。
4. 実際の例文:中学1〜3年生別に紹介

【中学1年生向け】
テーマ:勇気を出して声をかけた日
あれは、入学して間もないころのことです。
新しいクラスに少しずつ慣れてきたころ、教室の隅で一人きりでお弁当を食べている女の子がいました。私はその子の名前もよく知らず、話したこともありませんでした。でも、なんだか気になって、心の中がそわそわしました。「話しかけたら、変に思われるかな……」
そう迷っているうちに昼休みが終わってしまった日もありました。だけど数日後、私は思い切って「一緒に食べよう」と声をかけました。女の子は一瞬びっくりした顔をしましたが、すぐににっこり笑って「うん」とうなずいてくれました。私のほうがホッとして、ドキドキがやっとおさまりました。
それから私たちは少しずつ話すようになり、今では毎日一緒に帰るほどの友だちになりました。
あのとき、勇気を出して声をかけてよかった。人を思いやるって、ちょっとの勇気から始まるんだと知りました。これからも、誰かの心にそっと寄り添える人でありたいと思います。
※この作文は、日常の小さな気づきや勇気を丁寧に描いています。読んだ人が「あるある」「自分にもできそう」と感じられることが、感動につながる要素です。
【中学2年生向け】
テーマ:思いやりのリレー
雨が降っていたある日、駅の階段で足の悪いおばあさんが立ち止まっていました。私は「どうしよう、声かけたいけど、断られたら恥ずかしいな」と、足を止めて迷っていました。
すると、私の少し前にいた小学生の男の子が「荷物、持ちましょうか?」と声をかけたのです。私は驚きました。
おばあさんは少し驚いたような顔をして、でもにこやかにうなずきました。男の子は小さな手で傘と荷物を持ち替えながら、ゆっくり一緒に階段を降りていきました。
それを見て、私は思いました。「小さな子でも、こんなに自然に人を助けてる。私は何をためらっていたんだろう」。
次の日、学校でクラスの友だちがプリントを落としているのを見つけた私は、今までなら素通りしていたかもしれない。でも、そのときはすぐに拾って「これ、落ちてたよ」と声をかけました。
たったそれだけ。でも友だちの「ありがとう」は、昨日のおばあさんの笑顔と同じくらいあたたかく感じました。
人を思いやる気持ちは、誰かから誰かへ、リレーのようにつながっていくんだと、私は思います。私も、次のバトンを渡せる人でいたいです。
※こちらの作文は、相手の立場を考える想像力と、自分の変化の描写がしっかりと入っています。保護者の方が読んでも、「こんな気づきがあるなんて」と思える深さが感じられます。
【中学3年生向け】
テーマ:「ふつう」がふつうじゃなかったとき
私には、目立たないけれどいつも静かにノートをとっている友だちがいます。ある日、帰り道に彼がノートを破って捨てようとしているのを見かけました。「どうしたの?」と聞くと、彼はうつむいたまま「見せろって言われて……全部真似された」と言いました。
それを聞いて、私は言葉が出ませんでした。ノートを写すくらい、よくあることだと思っていた。でも、彼はちゃんと自分で考えてまとめたものを、無断で使われ、しかもそれを誰にも言えなかった。
その夜、私は自分の行動を振り返りました。過去に私も、同じようなことをしたことがあったのです。悪気なく、「ちょっと見せて」と軽く言ったその一言が、誰かを傷つけていたかもしれない。
次の日、私は「これからは、自分の力でやるようにする」と伝えました。そして、彼に「もし困ったことがあったら、言ってね」と言いました。
人権って、大げさなものじゃない。自分のまわりの“ふつう”の中にある、小さな違和感に気づくこと。気づいたら、変えようとすること。それが、自分にもできる人権の守り方だと思いました。
※このように、自分の無意識な行動を振り返り、それを乗り越えていく視点は中学3年生ならでは。読む人の心に深く響く内容になります。
5. よくあるNG例と改善ポイント

NG例1:「なんとなくいいことを書いているだけ」
例文:
人を助けることは大切だと思いました。これからも人にやさしくしていきたいです。
問題点:
抽象的で、どんな場面だったのか、なぜそう思ったのかがわかりません。これでは読んだ人の心に残りません。
改善ポイント:
具体的な出来事や気持ちの変化を入れるだけで、印象はがらりと変わります。
改善例:
ある日、バスで席をゆずったとき、おばあさんが「ありがとう」と笑ってくれました。その笑顔を見て、私も心がぽかぽかしました。あの日から、私は「誰かの力になりたい」と思うようになりました。
NG例2:「出来事の羅列だけで気持ちが見えない」
例文:
今日は朝から雨だった。駅まで歩いていたら、友だちが傘を持っていなかったので貸した。教室に着いて、授業が始まった。
問題点:
出来事をただ並べているだけで、感情の動きが伝わりません。
改善ポイント:
「なぜ傘を貸そうと思ったのか」「貸したことでどんな気持ちになったのか」を書きましょう。
改善例:
雨の中を歩いていたとき、傘を持っていない友だちを見つけました。迷ったけれど、思いきって「入る?」と声をかけました。友だちは少し驚いた顔をしてから「ありがとう」と言ってくれました。勇気を出してよかった、と思いました。
NG例3:「立派すぎて自分の言葉に聞こえない」
例文:
私は差別をなくすために行動し、世界の平和を守りたいと考えます。
問題点:
理想論ばかりで、身近な中学生の視点がありません。どこか他人ごとに感じられてしまいます。
改善ポイント:
自分の体験や気づきから考えを広げると、リアリティが出ます。
改善例:
外国から来た友だちが、言葉が通じず困っていたのを見て、私はどうしたらいいかわからず、何もできませんでした。でもその日、少しだけ話しかけてみたら、笑顔でうなずいてくれました。たった一言でも、気持ちは伝わると知りました。言葉が違っても、心は近づけると信じています。
6. 保護者・先生にできるサポートとは?

中学生にとって、人権作文を書くことは、自分の内面を見つめ直す大切な機会です。とはいえ、最初からうまく書けるわけではありません。そこで、保護者や先生のちょっとした声かけやサポートが、大きな力になります。
●「正解を教える」のではなく、「気づきを広げる」
たとえば、「もっと立派なことを書きなさい」と言われると、子どもは「自分の話じゃだめなんだ」と感じてしまいます。それよりも、「あのときどう思った?」と問いかけてあげると、自分の気持ちに目を向けやすくなります。
●話を聞いてあげることで、作文のタネが見つかる
家庭や学校での何気ない会話の中に、実はたくさんのヒントが隠れています。作文に悩んでいる子には、「最近びっくりしたことある?」「嬉しかったことって何?」と聞いてあげるだけでも、テーマの糸口になります。
●書いたあとも、感想を伝えてあげる
「最後のところ、ぐっときたよ」「あなたらしいなと思った」といったフィードバックは、書いた本人の自信につながります。内容よりも「自分の気持ちを伝えられた」という経験を大切にしてあげましょう。
7. まとめ:小さな気づきを感動に変える作文を

人権作文は、ただ「いいことを書く」課題ではありません。「人としてどうありたいか」を、自分なりに考えて言葉にする大切なチャンスです。
中学生の皆さんが経験した、小さな優しさや、ふとした違和感、ちょっとした勇気。そういった身近な気づきを、作文にすることで、読む人の心にじんわりと響く作品になります。
そして、保護者や先生がその気づきを一緒に見つけ、支えてあげることは、子どもたちが社会の一員として成長する力になります。
「感動」は、立派な出来事から生まれるのではなく、日常の中にあります。まずは一歩、自分の気持ちに耳をすませてみましょう。そこに、あなただけの人権作文のタネがきっと見つかります。
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