
こんにちは。晴田そわかです。
今回の記事では《運動会ダンス指導の悩み解決|小学生にわかりやすい教え方と盛り上がる曲》について紹介させて頂きます。
1. はじめに
小学校の運動会でのダンスは、子どもたちにとって楽しい思い出であると同時に、担任教師や指導者にとっては大きな悩みの種になりやすい種目です。徒競走やリレーなどの競技はルールや動きが明確で教えやすい一方、ダンスは「音楽に合わせて表現する」という抽象的な活動であり、完成度や子どもたちの意欲は指導者の工夫や経験に大きく依存します。そのため、授業時間が限られている中で、振り付けの習得、隊形移動、学年差への対応、曲選びといった課題を効率よく解決する方法が求められます。
運動会ダンスを成功させるためには、以下の点が重要です。
-
子どもにわかりやすく教える方法を取り入れること
振り付けを細かく分けて教える、見本を見せる、隊形移動を段階的に練習するなど、現場で即実践できる指導法が必要です。 -
学年差や個々の習熟度を考慮した工夫をすること
低学年はシンプルな動きでテンポをゆっくりに、高学年は少し複雑でかっこいい振り付けを加えるなど、柔軟な設計が求められます。 -
盛り上がる曲を取り入れることで演目の魅力を高めること
運動会のダンスでは、明るくノリのよい曲を選ぶことで、子どもたちがより楽しんで踊れたり、観客の盛り上がりを自然に引き出したりする効果があります。曲がアップテンポであることで振り付けの表現力も増し、演目全体の印象を華やかにすることが可能です。ただし、静かな曲でも工夫次第で十分に魅力的な演目に仕上げることができるため、曲のテンポや雰囲気だけに頼る必要はありません。
この記事では、元教師としての経験に基づき、運動会ダンスの指導でよくある悩みを整理したうえで、小学生にわかりやすい教え方のコツ、学年別指導ポイント、盛り上がる曲の活用法、指導をスムーズに進めるための工夫まで、実践的な視点で詳しく解説します。この記事を読むことで、指導者は限られた時間でも効果的にダンス指導ができ、子どもたちも楽しく、観客も自然に盛り上がる演目を完成させることが可能になります。
✨関連記事はこちら👇
2. 運動会ダンス指導でよくある悩み

運動会ダンスは、学級全員がそろって一つの演目を完成させる活動であるため、指導者にとってさまざまな悩みが生じやすい部分です。ここでは、現場で特に多く見られる悩みと、その背景を解説します。
2-1. 子どもが振り付けを覚えられない
小学生、とくに低学年では集中力や記憶力に個人差が大きく、振り付けの順序やタイミングを覚えること自体が難しい場合があります。
原因としては、以下が考えられます。
-
振りが長すぎる、あるいは複雑すぎる
-
一度にすべてを教えようとしている
-
動きを言葉だけで説明している
解決策としては、次章で詳しく触れますが、**「スモールステップで分けて教える」「見本を見せて真似させる」「反復練習を取り入れる」**といった方法が有効です。これにより、子どもたちは無理なく覚えられ、達成感を感じながら練習を進められます。
2-2. 隊形移動が難しく、混乱する
運動会ダンスでは、振り付けに加えて隊形移動も必要になる場合が多く、これが子どもたちにとって大きな負担になります。特に低学年では、前後左右の位置関係を理解する能力や空間認知力がまだ十分ではないため、動きながら正しい位置に移動することが難しいのです。
-
フォーメーションが複雑すぎる
-
移動タイミングが振り付けと同時でわかりにくい
-
視覚的な目印がない
これに対しては、カラーコーンやマットで立ち位置を示す、円や横一列などのシンプルなフォーメーションから始める、移動練習を振り付けとは別に行う、といった工夫が有効です。
2-3. 学年差によって踊りやすさが変わる
同じ学級でも低学年と高学年では運動能力やリズム感、集中力に差があります。結果として、同じ振り付けでも学年によって「簡単すぎて退屈」「難しすぎて混乱」という状況が生まれることがあります。
-
低学年向けの動きを高学年にそのまま適用すると、物足りなさややる気の低下につながる
-
高学年向けの複雑な動きを低学年に取り入れると、覚えきれずに混乱する
学年別に振り付けをアレンジしたり、難易度を段階的に上げたりすることで、全員が楽しみながら踊れる環境を作ることが重要です。
2-4. 曲の長さやテンポが合わない
運動会で使用する曲の長さやテンポが、振り付けや子どもの習熟度に合っていないと、練習も本番もスムーズに進みません。
-
曲が長すぎる → 子どもが集中力を維持できない
-
テンポが速すぎる → 動きが追いつかず、フォーメーションも崩れやすい
-
テンポが遅すぎる → 活気や見栄えが損なわれる
この問題を避けるためには、曲の長さをカットしたり、テンポを少し調整したりするなど、現場で柔軟に対応できる準備が必要です。
2-5. 盛り上がりに欠ける、観客が楽しめない
曲や振り付けの工夫によって、子どもたちは十分楽しんでいても、観客から見たときに盛り上がりに欠けることがあります。
-
動きが小さく、表現力が伝わらない
-
全員の動きがそろわず、統一感がない
-
曲の選び方で演目の勢いが伝わらない
ここで重要なのは、曲選びだけでなく振り付けの見せ方や隊形の工夫によって演目の魅力を引き出すことです。次章では、これらの悩みを解決する具体的な指導法について詳しく解説します。
3. 小学生にわかりやすいダンスの教え方

小学生にダンスを教える際は、単に振り付けを伝えるだけでは十分ではありません。子どもの発達段階や理解のスピードに応じた工夫を取り入れることで、練習の効率が上がり、仕上がりも大きく変わります。ここでは現場の教師がよく用いる具体的な方法を紹介します。
3-1. スモールステップで区切る
一度に長い振り付けを教えると、子どもはすぐに混乱してしまいます。そのため、振りを細かく分割して教えることが大切です。
-
まずは「8カウント(1小節)」ごとに動きを区切る
-
それぞれの動きを「見本 → 一緒に → 一人で」の順で練習させる
-
全体をつなげるのは、部分練習を繰り返したあと
この「スモールステップ方式」により、子どもは段階的に動きを習得でき、記憶への定着も早まります。
3-2. 視覚的に理解させる
言葉だけで説明しても、子どもには伝わりにくい場合があります。そこで重要なのが視覚的な工夫です。
-
教師自身が大きく誇張した動きで見本を示す
-
動きを「ジャンプ」「手を大きく広げる」など擬態語や比喩で説明する
-
立ち位置にコーンやテープを置き、空間のイメージを持たせる
-
鏡や動画撮影を活用して、自分の動きを客観的に見せる
これらの工夫で、子どもたちは「頭で理解する」よりも「目で覚える」ことができ、振り付けの習得が格段にスムーズになります。
3-3. リズム感を育てる工夫
振り付けを覚えても、音楽に合わせることができなければ完成度は上がりません。特に低学年ではリズム感に差が大きいため、リズム練習を取り入れることが有効です。
-
手拍子でビートを取りながら体を動かす
-
曲を流さずにカウント(1・2・3・4…)で動きを合わせる
-
曲をスロー再生して、徐々にテンポを上げていく
このような基礎練習を取り入れることで、子どもたちは音楽にのって踊る感覚を自然に身につけられます。
3-4. 隊形移動は「動き」より「位置」で教える
隊形移動は、振り付け以上に混乱しやすいポイントです。教える際は「動き方」よりも「最終的にどの位置に立つか」を意識させることが効果的です。
-
最初に「次はここに立つ」というゴールを示す
-
フォーメーションを図に描いて示し、イメージを持たせる
-
コーンやラインを使って移動先を目印化する
-
振り付けと移動を同時に覚えさせず、まずは移動だけで練習する
こうした工夫により、子どもたちは「今どこに動けばいいのか」が理解しやすくなり、隊形の完成度も高まります。
3-5. 声かけで安心感と集中を引き出す
練習中に子どもが不安や戸惑いを感じていると、動きが硬くなり表現力も失われます。そこで重要なのが教師の声かけです。
-
「できたね!」「すごくそろってきたよ!」と肯定的なフィードバックをする
-
「次は手をもっと大きく広げてみよう」と具体的に指示を出す
-
「ここまで完璧に覚えなくても大丈夫」と安心感を与える
子どもが自信を持つことで、動きが自然に大きくなり、観客に伝わる演技へとつながります。
3-6. 子ども主体のアレンジを取り入れる
教師がすべてを決めてしまうと、子どもは受け身になりがちです。そこで、子ども自身が考える要素を取り入れると、主体的に取り組む姿勢が生まれます。
-
手の振り方や決めポーズを子どもに考えさせる
-
「この動きに名前をつけよう」とアイデアを共有する
-
練習後に「今日一番うまくできた動き」を全員で称え合う
自分の意見や工夫が演目に反映されると、子どもは誇りを持って練習に取り組むようになり、完成度も自然に高まります。
このように、教え方を工夫することで、運動会ダンスは単なる「練習」から「子どもが成長を感じる活動」へと変わっていきます。
4. 運動会を盛り上げる曲の選び方

運動会のダンスにおいて「曲選び」は大きなポイントの一つです。音楽は子どもたちの気持ちを引き出し、観客を自然に巻き込みます。特にアップテンポで明るい曲は、踊る側も見る側も一体となって盛り上がる力を持っています。ただし、曲が盛り上がることだけが成功の条件ではありません。静かな曲やしっとりした曲でも、振り付けや隊形の工夫次第で観客を魅了できる演目に仕上がります。
その上で、運動会という大舞台では「盛り上がる曲」が特に効果的であることも事実です。子どもたちが自然に体を動かしたくなる曲、観客が手拍子や掛け声で応援したくなる曲を取り入れると、練習から本番まで一貫してポジティブな雰囲気を作り出せます。
ここでは、学年ごとの発達段階や特徴を踏まえて、実際に運動会で採用しやすいおすすめ曲をリストアップしました。
運動会を盛り上げる!おすすめのダンス曲リスト 🎵
🎵 低学年向け(1〜2年生)
振り付けがシンプルで、手拍子・ジャンプ・回る動きが多い曲がおすすめです。
-
ジャンボリミッキー!(ディズニー)
簡単でかわいい振り付けがすでに定着しており、保育園・幼稚園から踊ってきた子どもも多いためスムーズに取り組めます。大人気の定番曲。 -
パプリカ(Foorin)
低学年でも踊りやすく、親世代にも馴染みのある曲。振り付けが映像で広まっているため、家庭で自主的に練習する子も少なくありません。
-
ベイビー・シャーク(Pinkfong)
世界的に有名で、手遊び感覚の振り付けが子どもに大ウケします。歌詞に合わせてポーズを取るだけで成立するので、短期間でも仕上げやすい曲です。
-
崖の上のポニョ(藤岡藤巻と大橋のぞみ)
親しみやすいメロディーで、元気いっぱいに踊れるナンバー。動きもシンプルで、ジャンプや回転を入れるだけで可愛らしい演目になります。 -
勇気100%(忍たま乱太郎 主題歌)
明るく前向きな歌詞で、子どもが自然に声を出して歌いながら踊れる曲。振り付けもシンプルにアレンジしやすく、低学年の定番です。
🎵 中学年向け(3〜4年生)
リズム感があり、少しかっこいい振りも取り入れられる曲が盛り上がります。
-
新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」
サビの首振りダンスが話題で、子どもたちの間でも流行。動きが特徴的なので、観客も盛り上がりやすい曲です。 -
怪物(YOASOBI)
力強いリズムが特徴で、迫力ある振り付けに合います。中学年にとって「ちょっと背伸びした表現」ができるのも魅力です。 -
ドコノコノキノコ(NHKみんなのうた)
コミカルでユニークな振り付けができる楽曲。遊び心を取り入れた演出で、会場全体を笑顔にできます。 -
にんじゃりばんばん(きゃりーぱみゅぱみゅ)
カラフルで視覚的に楽しい曲。旗やリボンなどの小道具を加えても映えます。 -
Bling-Bang-Bang-Born(Creepy Nuts)
2025年もTikTokや運動会で大人気。ノリやすいビートで自然と体が動くため、子どもたちが生き生きと踊れる曲です。
🎵 高学年向け(5〜6年生)
スピード感やかっこよさを重視。ヒップホップ調や流行曲を取り入れると映えます。
-
アイドル(YOASOBI)
テンポが速く、キレのある振り付け
を合わせると見応え抜群。表情の作り方や角度の工夫で完成度が一気に高まります。
-
KICK BACK(米津玄師)
迫力のあるサビが特徴で、全員が一斉に動くと非常に映えます。隊形移動と組み合わせると会場を圧倒できます。 -
Butter(BTS)
世界的ヒット曲で、ヒップホップ調の動きが合います。高学年が大人っぽさを出せる選曲。 -
Make you happy(NiziU)
「縄跳びダンス」が話題になった曲。シンプルな繰り返し動作があるため、観客も一緒に真似しやすいのが魅力です。 -
新しい学校のリーダーズ「Arigato」
盛り上がりやすく、団結感を出しやすい曲。フォーメーションを工夫すると学年のまとまりが際立ちます。
🎵 全学年合同でも盛り上がる曲
親も知っている定番曲や、誰もがノリやすい曲がおすすめです。
-
Y.M.C.A.(西城秀樹/Da Pumpバージョンも可)
サビで全員が「Y」「M」「C」「A」のポーズを揃えると、大盛り上がり間違いなし。 -
We Will Rock You(Queen)
手拍子と足踏みだけで迫力が出せる曲。難しい振りを入れなくても観客が参加しやすいのが魅力です。 -
ジャンボリミッキー!(再登場)
全学年が一緒に踊れる最強の定番曲。アンコール的に使っても盛り上がります。
このように、学年ごとの特徴に合わせて曲を選ぶことで、子どもの力を最大限に引き出せると同時に、観客を自然に巻き込むことができます。
5. 成功する運動会ダンスのポイントまとめ

運動会のダンスを成功に導くためには、「派手な演出」や「難しい振り付け」ではなく、子どもたちが自信をもって動ける構成と、全員で達成感を味わえる仕組みを作ることが重要です。以下に、教師の現場経験から見た成功のポイントをまとめます。
① 短い振り付けから積み上げる
多くの失敗例は、最初から長い振りを通して覚えさせようとすることにあります。
子どもたちは、最初の8カウントを完璧に踊れるようになったときの達成感でモチベーションが上がります。短い単位(2〜4カウントずつ)で区切り、毎時間少しずつ積み上げる指導が理想です。
また、振り付けを通して練習する時間と「部分練習(サビだけ、イントロだけ)」を交互に繰り返すと、飽きずに集中力を保てます。子どもたちには「今日はここの動きだけマスターしよう」と明確なゴールを示すことが効果的です。
② 隊形移動はシンプルに、目印を活用
運動会ダンスで最も混乱を招くのが「隊形移動」です。特に中・高学年では、立ち位置が複雑になることでミスが目立つことがあります。
そのため、指導者はまず次の点を押さえておきましょう。
-
最初は「円」「横一列」「斜め列」など単純な形から始める。
-
立ち位置をマークテープやカラーコーンで示す。
→ 特に色を学年やグループで分けると理解が早い。 -
移動練習を振り付け練習とは分けて行う。
→ 移動だけの練習時間を別にとると、身体が自然に覚えます。
また、移動中の音楽のタイミングを「リズムで合わせる」ように教えることも大切です。教師の掛け声「1・2・3・4!」でリズムを刻むより、曲のフレーズを口ずさみながら移動するほうが自然に揃います。
③ 子どもが知っている・好きな曲を選ぶ
どれほど緻密な振り付けをしても、子どもたちが興味を持たなければ演目は成立しません。指導者が「これを踊らせたい」と選ぶより、子どもが自然と体を動かしたくなる曲を優先することが成功の近道です。
実際、現場では「踊っていて楽しい」「聞いたことがある」というだけで、吸収のスピードが倍以上変わります。特にTikTokなどで流行したフレーズや、テレビ・アニメで耳にしたメロディーは、振りを覚えるモチベーションに直結します。
ただし、人気曲をそのまま使うのではなく、学年に合ったテンポや長さに編集することが必要です。1コーラス(約90秒前後)で構成するのが理想で、集中力を保ちつつテンポよく展開できます。
④ 「そろった瞬間」を演出すると観客も盛り上がる
ダンスの完成度は、振りの難易度よりも**「全員が揃った瞬間の美しさ」**にあります。特に運動会では観客が遠くから見ているため、細かな動きよりも大きな揃い方が印象に残ります。
おすすめの演出法としては、以下のようなものがあります。
-
サビで全員が同じ方向を向く瞬間をつくる。
-
ジャンプや手拍子など“音が揃う動き”を入れる。
-
フォーメーションチェンジで一斉に動く場面を作る。
こうした「全員の動きが一瞬で揃うポイント」を設けることで、観客から自然に拍手が起こります。
子どもたちにとっても「今、みんなで決まった!」という成功体験になり、次の練習への意欲を高めます。
⑤ 子どもが“主体的に踊る”雰囲気づくり
教師が前で指示を出し続けるだけでは、子どもたちの表情は固くなります。
成功する学級や学年は、子ども自身が「踊ることを楽しむ」空気を作れているのが特徴です。
そのためには、次のような工夫が効果的です。
-
練習中に「この動き、もっとこうしたらかっこよくなると思う?」と意見を聞く。
-
「フォーメーション係」「リズムリーダー」など役割を与える。
-
一部をグループごとに任せ、完成後に全体で発表する機会を作る。
自分たちのアイデアが採用された瞬間、子どもたちは主体的になります。結果的に笑顔が増え、ステージ上での表情も生き生きと変化します。
6. まとめ

運動会ダンスの指導は、教師にとって毎年の大きな挑戦です。しかし、教え方や構成の工夫次第で「誰でもできる楽しい活動」に変えることができます。
振り付けを短く区切って教えること、目印を使って隊形を整理すること、そして何より子どもが楽しめる曲を選ぶこと。この3つを意識するだけで、練習の雰囲気も仕上がりも劇的に変わります。
また、「盛り上がる曲」だけが運動会ダンスの正解ではありません。静かな曲でも、表現の繊細さやフォーメーションの美しさで観客を惹きつけることができます。大切なのは、子どもたちが心を込めて踊る姿をどう引き出すかという視点です。
運動会は、子どもの成長を最も強く感じられる行事のひとつ。教師が「上手に踊らせる」ことにとらわれすぎず、子どもと一緒に楽しむ姿勢を持つことで、練習も本番も自然と成功へと導かれます。
✨関連記事はこちら👇