
こんにちは。晴田そわかです。
今回の記事では《中学年のプール開き指導案アイデア!正しい「けのび」と「バタ足」を身につけるステップ》について紹介させて頂きます。
- 中学年のプール開き指導案アイデア!正しい「けのび」と「バタ足」を身につけるステップ
中学年のプール開き指導案アイデア!正しい「けのび」と「バタ足」を身につけるステップ
いよいよ水泳学習の季節がやってきました。3年生・4年生の中学年を担任される先生方、毎日のご指導本当にお疲れ様です。中学年の水泳学習は、低学年までの「水遊び」や「水慣れ」を中心とした活動から、いよいよ本格的な「泳ぐ」という技術指導へと大きな転換を迎える重要な時期です。
元小学校教員として10年間現場に立ってきた私自身も、中学年のプール開きには特有の緊張感を持って臨んでいました。なぜなら、スイミングスクールに通っていてすでにクロールが泳げる子どもと、まだ水に顔をつけることすら躊躇してしまう子どもとの間に、非常に大きな泳力差が顕著に現れ始めるのがこの中学年という時期だからです。だからこそ、最初の授業であるプール開きで、全員が共通して取り組むべき「基礎中の基礎」を徹底することが、その後の授業をスムーズに進めるための鍵となります。
今回の記事では、中学年の子どもたちが安全に、そして確実に泳ぎの土台となる正しい「けのび」と「バタ足」を身につけるための具体的なステップと指導案のアイデアを、現場で役立つ言葉がけの例とともに詳しく解説していきます。
✨関連記事はこちら⬇️
1. 教室での事前指導と、見学児童への大切な役割

プール開き当日は、水に入る前から授業が始まっています。中学年になれば着替えのスピードは低学年よりも格段に速くなりますが、それでも「着替えたらすぐにトイレに行く」「忘れ物がないかバディで確認する」といった基本ルールの徹底は欠かせません。
そして、この段階で忘れてはならないのが、体調不良等でプールに入れない見学児童への対応です。プールサイドという特殊な環境において、見学する子どもたちへの配慮は安全管理と学級経営の両面で極めて重要になります。
見学児童への役割と学習課題
見学児童を何もせずに日陰に座らせておくのは退屈ですし、疎外感を与えてしまいます。「今日は先生の助手を任せるね。みんなが走っていないか、バディがちゃんとできているか、目で見てチェックをお願い!」「上手だった人を探してね」などと役割を与えることで、彼らも立派にプール開きの授業に参加することができます。
見学児童の目を通じた観察は、後ほどの振り返り学習の際にも非常に役立ちます。「〇〇さんが上手な人を見つけてくれたよ、誰のどんなところが上手だったか教えてもらいましょう」と授業の終わりに発表の場を設けることで、見学児童自身の自己肯定感も高まり、泳いでいる子どもたちのモチベーションアップにも繋がります。
2. いざ入水の前の大切な儀式「プールの神様へのお祈り」

プールサイドへの移動、タオルやビーチサンダルの整頓、そして命を守る「バディ」の迅速な確認が終わったら、いよいよシャワーへと向かいます。しかし、その前にプール開きにおいて絶対に欠かせない大切な儀式があります。それは「プールの神様へのお祈り」です。
全員でプールに向かって一列に並び、帽子をとって姿勢を正します。「今年一年、みんなが怪我や事故がなく、安全に水泳の学習ができますように、プールの神様にお願いをしましょう」と声をかけ、全員で静かに深くお辞儀をしてお祈りをします。
この時間は、水に入る喜びで興奮して浮き足立っている子どもたちの気持ちをスッと落ち着かせる絶大な効果があります。「プールは楽しい場所であると同時に、命に関わる大切な学習の場である」という引き締まった空気を作るためにも、絶対に外せない重要なステップです。
3. 中学年でも油断禁物!シャワーと基本の水慣れ
お祈りを終え、シャワーを浴びます。中学年であっても、冷たいシャワーに対する抵抗感を持つ子どもはいます。「足から順番に、心臓から遠いところから水をかけていくよ」と丁寧に指導し、ゆっくりと体を水温に慣れさせます。
入水後も、いきなり泳ぎ始めることはしません。久しぶりの水の感覚を取り戻すために、低学年で行ったような「水慣れ」の時間を必ず設けます。ただし、低学年よりも少しテンポを上げ、より技術に結びつくような水慣れを取り入れていきます。
- ボビング(連続呼吸):水中で「ブクブク」と息を吐き、水面に顔を出して「パッ」と息を吸う動作をリズミカルに繰り返させます。「カエルさんみたいにジャンプしながら、10回連続でやってみよう!」と声をかけます。これが後のクロールの息継ぎの基礎となります。
- ダルマ浮きからクラゲ浮きへ:膝を抱えて浮くダルマ浮きで体の力を抜く感覚を思い出させたら、次は手足をダラリと下に伸ばして浮く「クラゲ浮き」に挑戦させます。よりリラックスして水に身を任せる感覚を養います。
4. 泳ぎの基礎を極める!正しい「けのび」のステップ

水慣れが終わったら、いよいよ今回のメインテーマの一つである「けのび」の指導に入ります。けのびは、クロールや平泳ぎなど、すべての泳ぎのスタート地点となる最も重要な姿勢です。けのびの姿勢が美しく真っ直ぐに保てていなければ、その後にどんなに強くバタ足をしても、腕を回しても、水の抵抗を受けてしまい前に進みません。
プール開きでは、この「水の抵抗をなくす真っ直ぐな姿勢=ストリームライン」を徹底的に体に覚え込ませます。
ステップ1:陸上での「ロケットのポーズ」
まずは水に入る前、あるいは浅いところで立ったまま、けのびの姿勢を作らせます。子どもたちには「一番細くて尖ったロケットに変身するよ」と伝えます。
- 両手を頭の上でピンと伸ばし、手のひらを重ね合わせます。
- 腕で両耳をギュッと挟み込むようにします。(ここが非常に重要です。耳が開いていると頭が上がってしまいます)
- お腹とお尻に力を入れ、足の先まで一本の棒になるように意識させます。
ステップ2:壁を蹴って進む感覚を掴む
陸上で姿勢が作れたら、水中で壁を蹴って進む練習をします。最初はプールの底に足をついて、壁を背にして立ちます。片足を壁の少し高い位置に当て、体を水に沈めながら両腕を前に伸ばし、先ほどのロケットのポーズを作ります。
「息を大きく吸って、水の中に顔を沈めたら、壁をドン!と強く蹴って進むよ」と指示します。
つまずき:壁を蹴った直後に、顔が前(進行方向)を向いてしまい、足がすぐに沈んでしまう。
指導法:けのびの最中は「プールの底(下)を見る」ことを徹底させます。「おへそを見るつもりでアゴを引いてね」と伝えると、自然と頭が下がり、下半身が浮き上がりやすくなります。人間の体は、頭が上がると腰が沈む構造になっていることを、わかりやすく教えてあげましょう。
ステップ3:誰が一番遠くまで行けるかゲーム
けのびの姿勢が安定してきたら、「バタ足を一切使わずに、けのびだけでどこまで進めるか」を競うゲームを取り入れます。足を動かしてはいけないというルールにすることで、子どもたちは自然と「どうすれば水の抵抗を減らせるか」「どうすれば体が沈まないか」を工夫するようになります。姿勢を一直線に保つ体幹の使い方が自然と身につきます。
5. 前に進む推進力を生む!正しい「バタ足」のステップ

美しいけのびができるようになったら、次はその姿勢を維持しながら前へ進むための推進力、「バタ足」の指導へと進みます。
教員時代の経験から言わせていただくと、中学年のバタ足指導で最も多い間違いが「自転車こぎ」になってしまうことです。膝を深く曲げてしまい、水面をバシャバシャと叩くだけで全く前に進まないキックです。これをプール開きの段階でしっかりと修正しておかなければなりません。
ステップ1:プールサイドでの「腰かけキック」
まずはプールサイドに腰掛け、足を水に出した状態でキックの練習をします。ここでバタ足の正しい動きのイメージを脳に刷り込みます。
- 足首は力を抜き、足の甲を伸ばします。(足首が曲がっていると水を捉えられません)
- 膝を曲げて蹴るのではなく、「太ももの付け根から動かす」ことを強調します。
- 水面を叩くのではなく、水の中の水を蹴り上げるイメージを持たせます。
ステップ2:壁につかまっての「壁キック」
次は水に入り、プールの壁を両手でつかんだ状態でバタ足の練習をします(伏し浮きの状態)。顔は水につけ、先ほどのけのびの時と同じようにプールの底を見るようにします。
ここで教員はプールサイドから一人ひとりの足の動きをチェックします。膝が曲がりすぎているお子さんには、「足をまっすぐ棒にしてごらん」「太ももから動かして!」と具体的な部位を指摘して修正していきます。正しいバタ足ができていると、足の甲から足首にかけて、細かく泡立つような水しぶきが上がります。
ステップ3:ビート板を使ったバタ足練習
壁キックでフォームが固まってきたら、ビート板を持たせて実際に前に進んでみます。ビート板の真ん中あたりを両手で軽く持ち、腕を伸ばして顔を水につけます。(息継ぎができない場合は、苦しくなったら立って良いと伝えます)
ビート板を使うと上半身が浮くため、安心感からか足の動きが雑になりがちです。「壁で練習した時と同じように、太ももから動かすよ!」と繰り返し声をかけ、フォームが崩れないように見守ります。
6. けのびとバタ足の融合!そして泳力別の見極め

プール開きの終盤には、いよいよ「けのび」の姿勢からスタートし、途中から「バタ足」を打ち始めるという一連の動作に挑戦させます。
「壁を蹴って、まずは綺麗なロケット(けのび)でスーッと進む。スピードが落ちてきたなと思ったら、太ももからバタ足を始めてごらん」と指示を出します。この一連の動作ができれば、クロールの下半身の動きはほぼ完成したと言っても過言ではありません。
プール開きでの見極めと今後のコース分け
この「けのびからのバタ足」の活動を通して、先生方は子どもたちの現在の泳力をしっかりと把握してください。
- しっかり浮いて前に進めるグループ:次回からはクロールの腕の回し方や、息継ぎの練習へとスムーズに移行できます。
- 足が沈んでしまう、顔をつけられないグループ:次回以降も小プールなどを活用し、水慣れやダルマ浮き、けのびの姿勢づくりに重点を置いた丁寧な指導が必要となります。
中学年の水泳学習では、無理に全員を同じペースで進めるのではなく、このプール開きで見極めた実態をもとに、次回から「どんどん泳ぐコース」と「基礎からじっくりコース」のように習熟度別のグループ分けを行うことが、全員を安全に上達させるための大きなポイントとなります。
7. 【時間配分付き】中学年プール開きの指導案アイデア3パターン

ここでが、着替えや移動の時間を除いた、「プールサイドに出てからの45分間(1コマ分)」を想定した具体的な指導案のアイデアを3パターン作成しました。クラスの子どもたちの実態に合わせてアレンジしてご活用ください。
パターンA:王道・バランス型(基礎から泳力把握まで)
水慣れから基礎技術の確認まで、プール開きの目的を網羅した最もスタンダードな指導案です。迷ったらまずはこの流れがおすすめです。
| 時間 | 活動内容 | 指導上の留意点・言葉がけ |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 健康観察・準備体操 プールの神様へのお祈り |
見学児童に「みんなが走っていないか、バディがちゃんとできているか、目で見てチェックをお願い!」と役割を伝達。「今年一年安全に学習できるようにお願いしようね」 |
| 5〜15分 | シャワー・水慣れ (ボビング・動物歩き) |
「魔法の滝」で心臓から遠い順に水をかける。バディで手をつないで安全に歩行。 |
| 15〜30分 | けのび・バタ足の練習 | 壁キックからスタートし、「ロケットのポーズ」を徹底。教員は全体のフォームと泳力を観察する。 |
| 30〜40分 | コース別お試し泳ぎ (または自由時間) |
「けのびで進むコース」「バタ足コース」などに分け、それぞれの課題で少しだけ自由に泳がせる。 |
| 40〜45分 | バディ確認・整理体操 振り返り |
見学児童から「上手だった人」を発表してもらう。次回への意欲付けを行う。 |
パターンB:水慣れ特化型(水への恐怖心が強いクラス向け)
低学年時のプール経験が少なかったり、水に顔をつけるのを怖がる子どもが多いクラス向けの指導案です。技術指導よりも「楽しさ」と「安心感」を最優先します。
| 時間 | 活動内容 | 指導上の留意点・言葉がけ |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 健康観察・準備体操 プールの神様へのお祈り |
バディの確認を徹底。見学児童へ「上手だった人を探してね」とチェック役を託す。 |
| 5〜15分 | シャワー・水かけ 水中ジャンケン |
顔に水がかかることに慣れさせる。「手鏡」を作って少しずつ顔をつける。 |
| 15〜30分 | 水中ゲーム (宝探し・洗濯機) |
ゲームを通して自然に水に潜る機会を作る。無理強いは絶対にしない。 |
| 30〜40分 | 浮く練習 (ダルマ浮き・クラゲ浮き) |
「力を抜いて、お水に持ち上げてもらおう」と声をかけ、リラックスさせる。 |
| 40〜45分 | バディ確認・整理体操 振り返り |
「今日お水に顔をつけられた人!」など、小さな成長を全体で認めて褒める。 |
パターンC:実態把握・コース分け直結型(泳力差が大きいクラス向け)
すでにスイミング等で泳げる子どもとそうでない子どもの二極化が激しい場合、早急に次回の習熟度別コース分け基準を作るための指導案です。
| 時間 | 活動内容 | 指導上の留意点・言葉がけ |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 健康観察・準備体操 プールの神様へのお祈り |
安全第一の約束を確認。見学児童にも安全と上手な人のチェック役をお願いする。 |
| 5〜10分 | シャワー・基本の水慣れ | 手短に済ませ、スムーズに入水させる。 |
| 10〜25分 | 一斉指導 (けのび〜10mバタ足) |
横一列になり、順番にけのびとバタ足を行わせる。教員は名簿を持ち、泳力を素早くチェック。 |
| 25〜40分 | 暫定グループ別練習 | 「クロールに挑戦グループ」「基礎バタ足グループ」などに暫定で分け、それぞれの課題に取り組ませる。 |
| 40〜45分 | バディ確認・整理体操 振り返り |
次回からコース別で楽しく練習することを伝え、今後の見通しを持たせる。見学児童からの発表も行う。 |
まとめ:焦らず基礎を固めることが、確かな上達への近道

中学年のプール開きは、子どもたちの実態を把握し、水泳学習における正しいフォーム(けのびとバタ足)の土台を築くための非常に重要な時間です。
泳げる子どもはすぐにでも腕を回して泳ぎたがりますし、苦手な子どもは不安でいっぱいかもしれません。しかし、どんな泳力のお子さんに対しても、「まずは水と仲良くなり、美しい姿勢で浮くこと」の重要性をしっかりと伝えてあげてください。けのびという基礎がしっかりしていれば、その後のクロールや平泳ぎの習得スピードは驚くほど速くなります。
見学する子どもたちへの役割付与から始まり、安全を祈る神様への儀式、そしてスモールステップで進める技術指導。これらをプール開きの1時間の中にバランス良く組み込むことで、クラス全体が「今年の水泳も頑張るぞ!」という前向きな気持ちになれるはずです。
先生ご自身も安全管理に気を配りつつ、子どもたちが水の中で見せる「できた!」という喜びの表情を、ぜひ一緒に楽しんでいただければと思います。素晴らしいプール開きの授業になるよう、心から応援しております。
✨関連記事はこちら⬇️