
こんにちは。晴田そわかです。
今回の記事では《【小学校中学年】水遊びから「泳ぎ」へ!クロールの基礎を作るスモールステップ練習法10選》について紹介させて頂きます。
【小学校中学年】水遊びから「泳ぎ」へ!クロールの基礎を作るスモールステップ練習法10選
小学校3年生、4年生になると、学習指導要領における体育の目標が「水に慣れること」から「浮く・泳ぐこと」へと大きくシフトします。低学年の頃はプールの底に足をつけて歩いたり、水に顔をつけたりする「水遊び」が中心でしたが、中学年からは本格的な泳法、特にクロールへと繋がる基礎的な動きの習得が求められるようになります。
しかし、この移行期は子どもたちにとって非常に大きな壁となります。「足がプールの底から離れるのが怖い」「息継ぎのタイミングがわからなくて水を飲んでしまう」「手と足を同時に動かすとパニックになる」など、一人ひとりのつまずきポイントが顕著に現れ始めます。ここで泳ぐことに対して苦手意識を持たせてしまうと、高学年での水泳学習が苦痛なものになってしまいかねません。
今回の記事では、水遊びの延長線上の感覚を保ちながら、少しずつクロールの完成へと近づいていく「スモールステップ練習法」を10個厳選して詳しく解説します。授業の組み立てに悩む先生方や、夏休みに子どもに泳ぎを教えたい保護者の方々が、読んだその日からすぐに実践できる具体的な手順と声かけのコツをまとめました。子どもたちが「できた!」という達成感を味わいながら、楽しく泳ぎの基礎を身につけられるよう、ぜひお役立てください。
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中学年の水泳指導における「壁」とは?

具体的な練習方法に入る前に、中学年の子どもたちがどのような点で「泳ぎ」につまずきやすいのかを整理しておきましょう。課題を明確にすることで、指導のアプローチがより的確になります。
- 姿勢の壁: 水中で体が沈んでしまう。特に下半身が下がり、水の抵抗を大きく受ける「立ち泳ぎ」のような姿勢になりがちです。
- 呼吸の壁: 水中で鼻から息を吐き、水上で口から息を吸うという、陸上とは逆の呼吸法(ボビング)が身についていないため、苦しくなってすぐに立ち上がってしまいます。
- 連動の壁: バタ足、手のかき、息継ぎという3つの全く異なる動作を同時に行うため、脳の処理が追いつかず、動きがバラバラになってしまいます。
これらの壁を一度に乗り越えさせるのは不可能です。だからこそ、動作を一つずつ分解し、段階的に積み上げていく「スモールステップ」のアプローチが不可欠となります。
クロールの基礎を作る!スモールステップ練習法10選

それでは、水に浮く感覚から始まり、最終的にクロールのコンビネーションへと繋げていく10段階の練習法を順番にご紹介します。
- まずは水中で両膝を抱え込み、背中を丸めて「だるま浮き」をします。
- だるま浮きで体が安定して水面に浮いたら、組んでいた手をゆっくりと前方に伸ばします。
- 同時に、丸めていた両足を後方へゆっくりと伸ばし、体を一直線にします。
- 全身の力を抜き、水面にうつ伏せで浮かぶ「伏し浮き」の姿勢を5秒間キープします。
いきなり伏し浮きをさせると、お腹に力が入ってしまい腰が沈んでしまう子どもが多いです。一度だるま浮きを経由することで、肺に空気を溜めて浮く感覚を掴んでから姿勢を伸ばすため、自然と水平に浮くことができます。「体に力が入っていると石みたいに沈むよ」と伝え、徹底的に脱力させることが最大のポイントです。
- プールの壁を背にして立ち、両手を頭の上で重ねてバンザイの姿勢をとります。
- 二の腕で両耳をギュッと強く挟み込み、頭が腕の間にすっぽり隠れるようにします。
- 息を大きく吸って顔を水につけ、片足(または両足)でプールの壁を強く蹴り出します。
- 手足は動かさず、水の抵抗を受けない細い姿勢(ストリームライン)を作ります。
クロールにおいて最も重要な「ストリームライン(流線型)」を作る練習です。頭が上がっているとブレーキがかかり前に進みません。「耳の後ろを腕で挟む」という具体的な体の部位を指定して姿勢を作らせます。壁を蹴る前に、視線をプールの底に向けることを意識させましょう。
- ステップ2で作った「けのび」の姿勢のまま、手足を一切動かさずにどこまで進めるか挑戦します。
- クラスでペアを作り、お互いにどこまで進めたか、姿勢が崩れていないかを確認し合います。
- 勢いが止まりそうになったら、自然に足をついて立ち上がります。
すぐに手足を動かしたくなる衝動を抑え、美しい姿勢を維持する筋力とバランス感覚を養います。距離が伸びない子どもは、無意識に膝が曲がっていたり、指先が開いていたりします。「指の先から足の先まで、1本のピンと張った糸になったつもりで」と伝え、姿勢の維持に全集中させます。
- プールサイド(または浅瀬の段差)にうつ伏せになり、下半身だけを水に出します。
- 足首の力を完全に抜き、足の甲を伸ばします。
- 膝を曲げるのではなく、「足の付け根(股関節)」から動かして水を蹴り上げます。
- 水面を足の甲で「ポンポン」と軽く叩くようなリズムでバタ足をします。
バタ足の最大のつまずきは、膝を大きく曲げてしまう「自転車こぎ」になってしまうことです。これでは水しぶきが上がるだけで全く前に進みません。陸上で足の付け根から動かす感覚を徹底的に体に覚え込ませます。先生が子どもの足首を軽く持って、正しい動かし方を誘導してあげるのも効果的です。
- ビート板の真ん中より少し後ろを両手で軽く握り、腕をまっすぐ伸ばします。
- 顔は水面から出したまま(前を向いたまま)、ステップ4で練習したバタ足で前に進みます。
- 息継ぎを気にする必要がないため、ひたすら「足の動きで前に進む感覚」に集中させます。
ビート板に乗るように体重をかけてしまうと、下半身が深く沈んでしまいます。ビート板はあくまで「軽く添えるだけ」にし、腕を伸ばすことを意識させます。腰が沈んでいる子どもには、「おしりを水面に出すイメージで」と声をかけると姿勢が改善されやすくなります。
- ビート板を持ち、大きく息を吸って顔を水の中に入れます。
- 視線は少し前方のプールの底に向け、頭から足先までをまっすぐにします。
- 水中で鼻から「ブクブク…」と息を吐きながらバタ足で進みます。
- 息が苦しくなったら立ち上がり、再度姿勢を作ってスタートします。
顔を水につけることで、顔上げバタ足よりも下半身が浮きやすくなり、より推進力を得られることを体感させます。この時、水中で息を止めてしまうと体がこわばってしまうため、必ず鼻から息を吐き出し続けることを指導します。バタ足と呼吸(吐くこと)の連動の第一歩です。
- プールサイドに立ち、前傾姿勢をとります。
- 片手ずつ、大きく円を描くように腕を回します。この時、手のひらではなく「腕全体」で水をかくイメージを持ちます。
- 手が太ももの横を通過するまでしっかりと押し切り、水上に戻す時は肘を高く上げる(ハイエルボー)ことを意識します。
- 左右交互に、ゆっくりと確実なフォームで「イチ、ニ」とリズムを取りながら回します。
水の中に入ると水の抵抗で腕が正しく回らなくなるため、必ず陸上でフォームを固めます。腕だけで回そうとする子どもが多いので、「背中の羽(肩甲骨)から大きく動かすよ」と指導します。手が体の中心線を越えてクロスしてしまわないよう、自分の肩の延長線上を回すように注意します。
- プールの浅い場所で、ワニのように体を沈めて両手をプールの底につけます。
- 足は底につけたまま(あるいは軽く浮かせて)、手でプールの底をかきながら前に進みます。
- 慣れてきたら、手を底から離し、ステップ7で練習したクロールの手かき動作だけで体を前に進めてみます。
手で「重い水」を捉え、後ろに押し出すことで体が前に進むという感覚を養います。足が底についている安心感があるため、手かき動作に集中できます。指が開いていると水がすり抜けてしまうため、「指を少しだけ閉じて、手をお皿の形にしてお水をキャッチする」ように指導します。
- 片手でビート板の端を持ち、もう片方の手は太ももの横に添えて「けのび」の姿勢でスタートします。
- バタ足をしながら、添えていた方の手だけを使ってクロールの手かきをします。
- 水をかき終わったら、肩を少し水面に出すように体を傾け(ローリング)、手を大きく回して元の位置に戻します。
- 片側が終わったら、持ち手を変えて反対の腕も練習します。
この練習は、手かきの技術だけでなく、息継ぎに必須となる「体のローリング(回転)」を自然に引き出す目的があります。体が真下を向いたまま腕を回すと肩を痛める原因になります。腕を戻す際に「肩を天井に向けるように少しだけおへその向きを変える」ことを意識させましょう。
- まずは立った状態で、水中で鼻から「フーッ」と息を吐き、水面に顔を横に向けて出した瞬間に「パッ!」と言って息を吸う練習をします。
- 次に、ビート板を持って顔つけバタ足(ステップ6)をしながら進みます。
- 片手を回すタイミング(ステップ9)に合わせて、顔を横に向け「パッ」と息を吸い、すぐに顔を水に戻して「フーッ」と吐きます。
クロール最大の難関である「息継ぎ」です。顔を前(上)に上げて息を吸おうとすると、下半身が沈みブレーキがかかってしまいます。「真横を見る」「耳を水につけたまま」という条件を徹底させます。「パッ」と声を出すことで、自然と口が開き、短時間で効率よく空気を肺に取り込むことができます。
元小学校教員として10年間、様々な学年の子どもたちとプール指導で向き合ってきた経験から申し上げると、中学年の水泳指導において最も留意すべきは「個人の泳力差の広がり」です。低学年までは横並びだった水慣れ度合いが、この時期を境に「すでに25m泳げる子ども」と「まだ顔をつけるのがやっとの子ども」に大きく分かれます。
そのため、今回ご紹介したステップを一律に全員に行わせるのではなく、子ども一人ひとりの現在のレベルを見極め、適切なステップからスタートさせることが重要です。全体指導の中にも個別の課題を設け、「今日はステップ5を完璧にしよう」など、子ども自身が目標を持って取り組める声かけを心がけてみてください。焦らず、スモールステップを丁寧に踏むことが、最終的に美しいクロールを泳ぐための最短ルートになります。
まとめ

中学年における水泳学習は、体育の授業の中でも特に子どもたちの「できた!」「できない…」という感情がダイレクトに表れやすい単元です。複雑な動きを要求されるクロールも、今回ご紹介した10のステップのように一つひとつの動作に分解し、安全で楽しい「練習遊び」の延長として提供することで、子どもたちは驚くほどスムーズに泳ぎの基礎を吸収していきます。
指導する側も、一歩進んで二歩下がるような子どもたちのペースに寄り添い、小さな変化を見逃さずにたっぷりと褒めてあげてください。水に対する恐怖心を克服し、自らの力で水面を滑るように進む感覚を掴んだ時の子どもたちの笑顔は、何物にも代えがたいものです。今回のステップが、充実したプール指導の一助となれば幸いです。
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