こんにちは。晴田そわかです。
今回の記事では《【学年別】小学生の授業開きに使える算数の導入アイデアまとめ――楽しさ×考える力を引き出すアクティビティ集――》について紹介させて頂きます。
- ① はじめに:授業開きは“算数の印象”を決める大事な一時間
- ② 学年別・算数の導入アイデアまとめ
- ▼ 小学3・4年生向け:考える楽しさと工夫を味わえる導入ネタ
- ▼ 小学5・6年生向け:論理的に考え、工夫し、共有する導入ネタ
- ④ 教師目線のアドバイス:授業開きで大切にしたい3つのこと
- ⑤ まとめ:1年の算数がちょっと楽しみになるように
① はじめに:授業開きは“算数の印象”を決める大事な一時間
新年度のスタート。子どもたちが新しい担任、新しい仲間と初めて向き合う「授業開き」の時間は、その教科に対する印象を左右する大切な場面です。特に算数は、子どもによって得意・不得意の差が出やすい教科。でも、最初の一時間で「算数って面白い!」「このクラスで一緒に考えるの楽しそう!」と思ってもらえたら、その一年はきっとぐっと前向きになります。
この記事では、そんな「算数の授業開き」にぴったりの活動を、学年別に紹介します。どれも簡単な準備ですぐにできる活動ばかり。教室での導入としてはもちろん、学級開きの“場ほぐし”にもおすすめです。
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② 学年別・算数の導入アイデアまとめ
▼ 小学1・2年生向け:遊びながら“数”と仲よくなる導入ネタ

【1】さいころすごろくで数あそび
みんな大好き“すごろく”を活用して、自然と数にふれられる活動です。数字が書かれたマスを進みながら、サイコロの目を足したり引いたり、簡単な数操作を取り入れます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 準備物 | 大きめのサイコロ(1〜2個)、すごろく用紙(人数分)、鉛筆 |
| 所要時間 | 約20〜30分 |
| ねらい | 数字の読み取り、足し算・引き算の導入、順番を守る協調性 |
活動の進め方:
-
子どもに1人1枚の「すごろく用紙」を配布。
-
各自が1マス目からスタートし、順番にサイコロをふって進む。
-
各マスには簡単なお題(例:2たす3は?、3引く1は?、10まで数えてみよう)を記入。
-
ゴールを目指しながら、正解すると進める。間違えたら一度休み、また次の順番でチャレンジ。
教師目線ワンポイント:
まだ文字や数に不慣れな子も多い低学年。言葉かけやヒントを丁寧に、全員が「楽しい!」と思えるペースで進めましょう。
【2】かずのなぞなぞビンゴ
なぞなぞ×ビンゴの要素で、数字に親しみながらクイズ感覚で遊べる導入です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 準備物 | ビンゴカード(3×3または4×4のマス)人数分、鉛筆 |
| 所要時間 | 約20分 |
| ねらい | 数の理解、聞き取って考える力、集中力を育てる |
活動の進め方:
-
ビンゴカードには1〜20くらいの数を自由に記入させる。
-
教師が「なぞなぞ」形式で数を出題(例:「1より大きくて3より小さい数は?」→正解:2)
-
該当する数があれば丸をつける。
-
ビンゴになったら手を挙げて「やったー!」
教師目線ワンポイント:
なぞなぞは子どもにとってとても魅力的な形式です。簡単なものからスタートして、最後は少しひねったものも入れると、「もう一問やって!」の声があがるかもしれません。
【3】どっちが大きい?おかいものゲーム
買い物ごっこの要素を通して、大小比較や合計、計算の基礎感覚を自然に養う活動です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 準備物 | 商品カード(簡単な値段つきのイラスト)、お金カード(10円玉・1円玉など) |
| 所要時間 | 約20〜30分 |
| ねらい | 数の比較、たし算・ひき算の導入、数量感覚の育成 |
活動の進め方:
-
商品カードを黒板に掲示(例:りんご50円、バナナ80円、みかん40円など)。
-
子どもに「100円で2つ買うならどれがいい?」「どっちのほうが安い?」と問いかける。
-
実際にお金カードで支払う活動も取り入れてもOK。
-
同じ値段になるように組み合わせを考えさせても楽しい!
教師目線ワンポイント:
買い物という身近な題材で、子どもは自然と集中します。迷ったときに「どうしてそう思ったの?」と尋ねると、考えを表現する力も育てられます。
▼ 小学3・4年生向け:考える楽しさと工夫を味わえる導入ネタ

【4】数字フィットパズル
条件に合わせて数字をぴったり当てはめていく、論理的思考力を育てるゲームです。ホワイトボードやワークシートに書いた問題をみんなで考えたり、ペアで相談しながら取り組むことで、自然と「考えるって楽しい!」が引き出せます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 準備物 | パズルのワークシート、鉛筆 |
| 所要時間 | 約25〜30分 |
| ねらい | 条件を整理する力、論理的に考える力、数の構成への理解 |
活動の進め方:
-
以下のような条件付きパズルを提示。
例:「3つのマスに1〜9の数字を1つずつ入れて、合計が15になるようにしよう」
さらに、「左のマスは右のマスより小さい」など条件を増やすと難易度UP。 -
最初は全体で考えながら、途中から個人・ペアでチャレンジ。
-
正解は一つとは限らない!考え方の違いを比べてみるのも面白い。
教師目線ワンポイント:
「なんでそうなるの?」「他のやり方あるかな?」と声かけしながら、考え方の多様性を認める場にしましょう。正解より「なるほど!」を大切に。
【5】すごろくで算数~問題つきオリジナルマス~
中学年らしく、すごろくのマスに“計算・単位・図形”などの問題を仕込んだ、学びも遊びもどっちも楽しめる導入です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 準備物 | 自作の算数すごろくマップ、サイコロ、コマ(消しゴムなどでもOK) |
| 所要時間 | 約30分 |
| ねらい | 既習内容の確認、協働的な活動、自然な学習への導入 |
活動の進め方:
-
グループごとに1つのすごろくボードを用意。
-
マスには問題を記載(例:「12×3=?」「1m=□cm」「正方形の辺の長さが5cmのとき、周の長さは?」など)。
-
サイコロをふって出た目で進み、止まったマスの問題を解いて正解すれば進む、間違えると戻るなどルールを調整。
-
最初は既習のやさしい問題を中心に配置し、最後に少し難しめのものを配置すると、盛り上がりつつ復習にも。
教師目線ワンポイント:
“遊び”に偏りすぎないように、マスの中の問題にちょっとした発展問題を混ぜておくと◎。「考える場面」と「楽しさ」を自然に切り替えていく感覚で。
【6】スリーヒントで当てろ!ミステリーナンバー
「○より大きい」「×で割り切れる」「△の倍数」など、3つのヒントから数字を推理していく活動。論理的思考と推理の面白さが味わえる、導入としてもばっちりの活動です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 準備物 | 黒板やホワイトボード、またはミニホワイトボード |
| 所要時間 | 約20〜25分 |
| ねらい | 数の性質理解、条件整理、推理力、集中力の育成 |
活動の進め方:
-
教師が「ある1けた〜2けたの数」を決めておく(例:24)。
-
「ヒント1:10より大きい」「ヒント2:2で割り切れる」「ヒント3:3の倍数」など、少しずつ条件を提示。
-
子どもはメモを取りながら候補をしぼっていき、途中で予想を発表。
-
正解が出たら、「なぜそう思ったのか」「他にどんな数字が条件を満たすか」を共有する。
教師目線ワンポイント:
正解した子だけでなく、「考え方を話した子」にも拍手を。プロセスを評価することで、全員が安心して発言できる空気が生まれます。
▼ 小学5・6年生向け:論理的に考え、工夫し、共有する導入ネタ

【7】これって何のルール?数列パターン当てゲーム
与えられた数字の並びから、「どんなルールで増えている(減っている)?」を考える頭脳パズルです。シンプルなのに、奥が深い!と高学年にも好評の導入ネタです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 準備物 | ホワイトボード or プリント配布 |
| 所要時間 | 約20〜25分 |
| ねらい | 数のきまりに気づく力、一般化する力、考える楽しさの体感 |
活動の進め方:
-
教師が例として「2, 4, 6, 8, □」など簡単な数列を出す。
-
「これはどんなルール?」「次の数は?」と子どもたちに問いかけ。
-
徐々に複雑なパターンに変えていく。
例:「1, 3, 6, 10, 15, □」(→前の数に順番に1ずつ足している)
「100, 90, 81, □, □」(→0.9倍ずつしている) -
最後には子ども自身に「問題づくり」させるとさらに理解が深まる。
教師目線ワンポイント:
パターンに「気づいた!」ときの喜びは大きなモチベーション。正解だけでなく、「違っていても筋の通った推理」にはしっかり反応を返してあげると、意欲が続きます。
【8】合体パズル!2つの式で目標の数をつくろう
1つの式では届かない数も、2つの式を組み合わせればつくれる!という発想を鍛えるゲーム。柔軟に式をつくる力や、数の構成への理解が深まります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 準備物 | ワークシート、ホワイトボード |
| 所要時間 | 約30分 |
| ねらい | 複数の計算の組み合わせ、発想力、創造的な思考 |
活動の進め方:
-
目標の数(例:56)を提示。
-
子どもたちは「2つの計算式を使ってこの数をつくる」ことを目指す。
例:「7×5+21=56」や「70−14=56」など。 -
条件をつけるとさらに面白い。
例:「かけ算とたし算を両方使う」「すべて1けたの数でつくる」など。 -
いろいろな考え方を発表してもらい、思考の多様性を共有。
教師目線ワンポイント:
「正解はこれしかない」ではなく「みんなの考えが集まって楽しい」がこの活動のキモ。難しく見えても、ペアやグループでやると意外と突破口が出てくるのでおすすめ。
【9】選べるチャレンジシート(個別ワーク対応)
人数やレベルに合わせて取り組める「自分に合ったチャレンジシート」を配る方法。算数の苦手意識がある子にも、「できた!」を感じてもらえる導入になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 準備物 | 難易度別のチャレンジシート、鉛筆 |
| 所要時間 | 約20〜30分 |
| ねらい | 自分に合った課題選び、達成感、個別最適な学びへの導入 |
活動の進め方:
-
難易度を★〜★★★で分類したプリントを配布(たとえば「数のパズル」「図形のなぞとき」などジャンル分けも可)。
-
子どもが自分で1枚選び、取り組む。
-
難しい課題にも「挑戦する空気」を後押しできると、やる気もUP。
-
最後に「どれに挑戦したか?どう感じたか?」のふり返りを。
教師目線ワンポイント:
「★をやったけど簡単すぎた?」「じゃあ次は★★に挑戦してみようか」と、子どもの反応を見ながら自然なレベルアップへつなげていけるのがこの活動の魅力です。
④ 教師目線のアドバイス:授業開きで大切にしたい3つのこと

授業開きの活動は、単なる「楽しい時間」に終わらせない工夫が肝心です。ここでは、実際の現場で役立つ視点を3つ紹介します。
1. 正解より「やってみたくなる空気」をつくる
最初の授業は「勉強の入口」として、子どもが“算数にどう向き合うか”が決まる大切なタイミングです。「できた!」「面白かった!」「もう1問やりたい!」という体験が、これからの1年間のモチベーションになります。
たとえば、全員が必ず正解しなくても大丈夫。「考えたプロセス」や「ユニークな発想」に価値を置くことで、挑戦しようとする雰囲気が生まれます。
2. 活動の中に自然に“算数の考え方”を散りばめる
どのアクティビティにも、「数の構成」「論理的思考」「パターンの発見」「計算の工夫」など、算数の学びの要素が含まれています。
「今日は計算練習じゃないけど、これって算数っぽいね」 「この考え方、授業でまた出てくるかもよ」
というふうに、算数的な視点をさりげなく添えることで、「算数って面白いかも」と感じてもらえます。
3. 活動のあとには、ふり返りや「なるほど!」の共有を
ただ楽しく終わるのではなく、「どんな考え方があった?」「何に気づいた?」などのふり返りの時間をつくると、学びの定着にもつながります。
短い時間でも「みんなの答えを聞いて、へぇ~と思った」「またやってみたい」という一言が出れば成功。自分だけでなく他の子の考えにも価値があると伝えることが、学級の安心感づくりにもつながります。
⑤ まとめ:1年の算数がちょっと楽しみになるように

「授業開き」こそ、1年間の学びを支える“はじめの一歩”。
だからこそ、いきなり難しい問題に入るのではなく、
-
みんなで一緒に頭を使って笑える
-
「考えるって面白い!」と感じる
-
「このクラスの算数、ちょっと楽しそう」と思える
そんな導入を用意することが、学級づくりにもつながります。
子どもたちは、先生が「考えること」にワクワクしているかどうかを敏感に感じ取ります。
まずは先生自身が、「算数って面白い!」と思えるようなネタを選んでみてください。
授業開きにぴったりの軽やかスタートを!
1年後、「算数、苦手じゃなくなった!」という子が少しでも増えるように。
スタートの授業がそのきっかけになれば、きっとその年の算数は、少し明るく、少し前向きなものになるはずです。
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