こんにちは。
晴田そわかです。
子どもがハッと心を動かすようなお話を親も教師もたくさん知っていると良いと思うのです。
そんなお話のネタをたくさん持っていて魅力的に話のできる大人を、子どもは自然と尊敬したりします。
もちろん、魅力的にできなくても大丈夫です。
拙くても良いのです。何かのきっかけで、子どもに想いを持って伝えることが出来たなら、それは子どもの心に残ります。子どもの心が豊かになるきっかけになると思うのです。
今回の記事では《子どもに聞かせたいちょっとした小噺【1】ワシントンの釘》を紹介させて頂きます。
ワシントンの釘
これは、アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンが子どもの頃に、父親から教えられたと言われている有名なお話(実話)です。
ワシントンは子どもの頃、とてもいたずら好きで、父親を困らせていました。そこで、父親はワシントンに、悪いことをするたびに家の柱に釘を1本ずつ打ち込むように言いました。逆に、良いことをすれば1本釘を抜く、という約束をしたのです。
ワシントンは最初は悪いことを繰り返し、柱はたくさんの釘ですぐにいっぱいになりました。
柱いっぱいの釘を見たワシントンは、自分の行動が周囲の人々にどれほどの影響を与えているのかを、痛感します。
時間が経つにつれて、ワシントンは少しずつ変わっていきます。周りの人への思いやりを持つようになり、良い行いを心がけるようになりました。それに伴い、柱の釘は少しずつ減っていきます。
とうとう柱の釘は最後の一本なりました。そして、その釘も外される時が来ました。
父親はにっこりと笑って
「ごらん。これで釘は1本もなくなった。ワシントン、お前は、よくがんばった。立派に成長したよ。」
と言いました。
父親に褒められたワシントンは、嬉しそうに釘の無くなった柱を撫でました。
「しかし、釘はなくなったけれど、柱に残った穴は消えない。ここにできた釘の穴は、神様でなければ元に戻すことはできないんだ。」
父親は、釘がなくなった柱を指さし、そう告げました。
「一度打たれた釘穴は消えない。いくら反省しても、良いことを重ねても、一度傷つけた相手の心の傷は消えないんだよ。だから、決して人を傷つけてはいけないんだ。」と言 いました。
この言葉はワシントンの心に深くつきささりました。
後にアメリカの大統領となる彼は、この事をきっかけにいつも「釘は抜けば良い」ではなく、「釘は打ち込んではならない」という考えのもと、精力的に仕事に励んだと言われています。
釘の穴が持つ意味
この言葉には深い意味が込められています。
▪︎過去の過ちは消えない
釘を抜いても、柱には穴が残るように、一度してしまった悪いことは、どんなに後悔しても完全に消し去ることはできない。
▪︎心の傷
悪い行いは、自分だけでなく、周囲の人々にも心の傷を与える。その傷は、時間が経っても簡単には癒やされない。
▪︎未来への教訓
過去の過ちから学び、未来では同じ過ちを繰り返さないように、という教訓。
🔹なぜこのエピソードが重要なのか
このエピソードは、単に「悪いことをすると罰が当たる」という単純な教訓ではありません。
自己成長の過程
ワシントンの成長過程を象徴的に表しています。
行動の責任
自分の行動には責任が伴うことを教えています。
心の傷の大切さ
人の心を傷つけることの重さを教えています。