
こんにちは。晴田そわかです。
今回の記事では《【小学校高学年】25m完泳を目指す!クロールを長く美しく泳ぐためのフォーム改善ドリル10選》について紹介させて頂きます。
【小学校高学年】25m完泳を目指す!クロールを長く美しく泳ぐためのフォーム改善ドリル10選
5年生・6年生の体育において、水泳学習の大きな集大成として設定されるのが「25m完泳」です。中学年までの学習で水に対する恐怖心が薄れ、ある程度の手足の動かし方を覚えた子どもたちも、いざ25mという距離を前にすると、途中で息が上がってしまったり、フォームが崩れて足が沈んでしまったりと、特有の壁に直面します。
高学年における水泳指導の鍵は、「力任せに水をかいて進む」状態から卒業させ、「いかに水の抵抗を減らし、効率よく、美しく泳ぐか」へ意識を向けさせることです。体力がついてくる時期だからこそ、がむしゃらに手足を動かすのではなく、理論に基づいた体の動かし方をスモールステップで体得させることが重要になります。
今回の記事では、クロールのフォームを根本から見直し、長く疲れずに泳ぐための改善ドリルを10種類厳選しました。指導の手順や、子どもたちへの具体的な声かけのコツを細かく記載していますので、明日の授業の組み立てにそのままご活用いただけます。子どもたちが自信を持って25mの壁を突破できるよう、ぜひ実践してみてください。
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高学年がぶつかる「25mの壁」の正体とは?

クロールで10mや15mまでは泳げるのに、どうしても25mに届かない子どもたちには、いくつかの共通したフォームの崩れが見られます。ドリルを始める前に、まずは何が原因で進めなくなっているのかを把握することが大切です。
- 息継ぎでのブレーキ: 呼吸の際に頭を高く上げすぎてしまうため、シーソーの原理で下半身が深く沈み、水の抵抗を正面から受けて立ち止まってしまいます。
- ストロークの空回り: 手を早く回すことばかりに意識が向き、水の中でしっかりとお水を後ろまで押し切れていません。結果として、体力だけを消耗してしまいます。
- キックへの過度な依存: バタ足に余計な力が入りすぎ、膝が大きく曲がることで逆にブレーキをかけています。長距離を泳ぐには、キックの推進力よりも「沈まないためのバランス」が重要になります。
これらの問題を一つひとつ丁寧に紐解いていくのが、以下に紹介する10のフォーム改善ドリルです。
クロールを長く美しく泳ぐ!フォーム改善ドリル10選

部分的な動作の修正から始め、最終的に無駄のないクロールのコンビネーションへと繋げていく実践的なドリルを順番に紹介します。
- 両手を頭の上で重ね、二の腕で耳をしっかりと挟み込む「ストリームライン」の姿勢をとります。
- プールの壁を両足で強く蹴り、手足を一切動かさずにどこまで進めるかを測定します。
- 顔は真っ直ぐプールの底に向け、指先から足先までを一直線に保ちます。
泳ぎのすべての基礎となる「浮いて進む姿勢」の再確認です。高学年になると自己流の癖がつき、頭が上がっていたり腰が反っていたりする子どもが増えます。誰が一番遠くまで進めるかゲーム感覚で競わせることで、「手足を動かさなくても、姿勢が良いだけで進む」という事実を体感させます。
- 両腕を太ももの横にピタリとつけ(気をつけの姿勢)、顔を水につけてバタ足を行います。
- 息継ぎをする時は、頭を上げるのではなく、肩から体を横に回転(ローリング)させて口を水面に出します。
- 息を吸ったら再び体を元のうつ伏せに戻し、バタ足を続けます。
腕の動きを完全に封じることで、息継ぎ時の「体の回転(ローリング)」のみに集中させるドリルです。前を向いて息継ぎをしてしまう癖のある子どもに非常に効果的です。常に頭のてっぺんが進行方向を向いているように軸を保つことを意識させます。
- 片手でビート板の端を持ち、もう片方の腕だけでクロールのストロークを行います。
- 水をかく手は、遠くの水面に指先から斜めに入水し、プールの底を通って太ももの横までしっかりと押し切ります。
- 右腕だけで半分泳ぎ、残りの半分は左腕だけで泳ぐなど、左右均等に練習します。
片方の腕がビート板で固定されているため、動かしている腕の軌道に100%集中できます。水の中で腕が「S字」や「I字」を描けているか、太ももの横まで水を押し切る前に腕を抜いてしまっていないかを確認させます。肘が落ちないように注意深く観察してください。
- ビート板を持たずに、両手を前に伸ばしたストリームラインの姿勢からスタートします。
- 右手をかき終わって前に戻してきて、左手と完全に揃ってから、初めて左手をかき始めます。
- 常にどちらかの手が、必ず前方に残っている状態をキープして泳ぎます。
手が風車のようにぐるぐると回り続けてしまう子ども(テンポが早すぎる子ども)に必須のドリルです。「前で両手をタッチさせる」というルールを設けることで、強制的に「伸びる時間」を作り出します。これにより、ストロークが大きくゆったりとした美しいフォームへと変化します。
- 通常のクロールを泳ぎますが、水をかき終わって腕を前に戻す際(リカバリー)、指先を水面から離さずに「スーッ」と引きずりながら前に運びます。
- 指先を水面につけたままにするためには、必然的に肘を高く上げなければなりません。
腕を伸ばしたまま水上をぶん回すようなフォームを修正し、肩への負担が少なく見た目も美しい「ハイエルボー(肘を高く保つリカバリー)」を身につけます。指先で水面に線を引くような感覚を意識させます。肩の力を抜き、リラックスして腕を戻すことがポイントです。
- 両手をジャンケンの「グー」の形にしっかりと握りしめたまま、クロールを泳ぎます。
- 手のひらが使えないため、腕全体(特に前腕部分)を使って水をとらえる意識を持ちます。
- 半分をグーで泳ぎ、残りの半分をパー(通常の手)で泳いで感覚の違いを比較します。
水をかく際、手のひらだけで「ペチペチ」となでるようにかいてしまう癖を直します。握り拳にすることで進みにくくなりますが、その分、肘から下の「前腕」全体で水の抵抗を感じようとする姿勢が生まれます。パーに戻した瞬間、水面をがっちり掴んで進む感覚に子どもたちは驚くはずです。
- クロールの腕の動作を「右、左、右」と3回かいたタイミングで、右側を向いて息継ぎをします。
- 次に「左、右、左」と3回かいたタイミングで、今度は左側を向いて息継ぎをします。
- 奇数回で息継ぎをすることで、強制的に両側呼吸(バイラテラル呼吸)の練習になります。
いつも同じ方向ばかりで息継ぎをしていると、体の軸が曲がり、蛇行して泳いでしまいます。両側で息継ぎをする練習を組み込むことで、左右の筋肉を均等に使い、ローリングのバランスを整えます。最初は鼻に水が入りやすいので、ゆっくりとしたペースで行わせます。
- 太ももの間にプルブイ(または小型のビート板)をしっかりと挟み込みます。
- バタ足を一切使わず、足は真っ直ぐ伸ばしたまま、腕のストロークだけでクロールを泳ぎます。
- 下半身がプルブイの浮力で持ち上げられるため、正しい水平姿勢を体感できます。
どうしても足が沈んでしまう子どもや、バタ足に頼りすぎて疲れてしまう子どもに最適です。下半身が浮くことで抵抗が激減し、驚くほど楽に進むことを実感させます。足に頼らず「手でしっかり進む」感覚を養うための極めて重要なドリルです。
- 5メートル〜10メートルの短い距離を、一切息継ぎをせずにクロールで泳ぎ切ります。
- 息継ぎの動作が入らないため、頭を真っ直ぐ下に向けて軸をブラさずに泳ぐことに集中します。
- 指導者はプールサイドから、腕の軌道やストリームラインが崩れていないかをチェックします。
息継ぎの動作はフォームを最も崩しやすい要因です。あえて息継ぎを排除した短距離を泳がせることで、本来の正しいストロークとキックの連動を確認させます。ここでフォームが美しい子どもは、息継ぎのタイミングさえ合えばすぐに25mを泳げるようになります。
- 25mを泳ぐ間に、左右の腕を合計で何回かいたか(ストローク数)を子ども自身に数えさせます。
- 最初は普通に泳いで数え、2回目、3回目と泳ぐにつれて、「さっきより1回でも少ない数で25mに到達すること」を目標にします。
- 数を減らすためには、一度のストロークでしっかりと水を押し、長く伸びる必要があります。
「速く泳ぐ」のではなく「長く泳ぐ」ための総仕上げのドリルです。ストローク数を減らそうとすると、子どもたちは自然とこれまでのドリル(キャッチアップの伸び、指先の引きずり、前腕でのキャッチ)で学んだ要素を全て組み合わせようとします。効率の良い泳ぎ=疲れない泳ぎであることを頭と体で理解させます。
元小学校教員として10年間、高学年のプール指導を担当してきた中で痛感したのは、「25mを泳げない子どもは、泳ぐ技術がないのではなく、力を抜く技術を知らないだけ」ということです。5・6年生になると体力が備わっているため、15mくらいまでは力任せの無呼吸に近い状態で進めてしまいます。しかし、それでは必ず途中で息絶えてしまいます。
指導の際は「もっと足をバタバタさせて!」「手を早く回して!」という声かけをぐっと堪え、「もっとゆっくりでいいよ」「手の力を抜いて長ーく伸びてごらん」という、リラックスを促す言葉掛けを多用してみてください。また、高学年は周囲の目を気にする時期です。「まだ泳げない」ことへの恥ずかしさから水泳を嫌いにさせないよう、他人との比較ではなく、過去の自分のフォームとの比較で成長を認め、全体の前で具体的な動作を褒めることが、モチベーション維持の最大の秘訣となります。
まとめ

小学校高学年における水泳学習は、泳げる距離を伸ばすことだけが目的ではありません。自分の体の動きを客観的に見つめ直し、水の抵抗や浮力という物理的な感覚と向き合いながら、より良いフォームへと試行錯誤していく過程そのものが、素晴らしい自己成長の機会となります。
今回ご紹介した10のフォーム改善ドリルは、がむしゃらな泳ぎから、美しく効率的な泳ぎへと子どもたちを導くための有効なステップです。最初から全てを完璧にこなす必要はありません。「今日は手の入水だけ意識しよう」「今日はローリングを完璧にしよう」と、毎時間の授業に小さなテーマを持たせて取り組んでみてください。
無駄な力が抜け、スーッと水の上を滑るように25mを泳ぎ切った瞬間の、子どもたちの誇らしげな表情は、指導者にとっても最高の喜びです。先生ご自身も子どもたちと一緒にフォームの変化を楽しみながら、充実した水泳指導の時間を作り上げてください。
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