こんにちは。晴田そわかです。
今回の記事では《小学校中学年の水泳指導に!泳力アップにつながるアクティビティ10選》について紹介させて頂きます。
1. はじめに
小学校中学年(3・4年生)は、心も体もぐんと成長する時期です。体育の授業でも、これまで「水に慣れる」ことを中心に行っていた水泳指導が、いよいよ本格的に泳ぎを身につける段階へと進みます。
中学年になると、けのびやバタ足、面かぶりクロールといった基本的な泳法の導入が始まり、泳げる距離も徐々に延びていきます。一方で、水が苦手な子や運動があまり得意でない子にとっては、水泳の授業が不安やストレスになることもあります。
そこで大切になるのが、「楽しく、自然と泳力が伸びる」活動の工夫です。この記事では、小学校中学年の子どもたちが夢中になりながら泳力を伸ばせるアクティビティを10個紹介します。授業ですぐに取り入れられるよう、ルールや時間、安全指導にも配慮しながら、具体的にお伝えします。
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2. 中学年の水泳授業で大切にしたいこと
小学校中学年の水泳指導では、以下のポイントを大切にすると、子どもたちのやる気と成長を支えることができます。
● 基本技術の定着を目指す
この時期の水泳授業は、けのびやバタ足、クロールの導入、平泳ぎの体験など、基本的な泳ぎ方を習得するステップです。技術面での基礎づくりが、今後の高学年の指導にもつながります。
● 泳力の差が出やすい時期
中学年になると、運動能力や体の発達に差が見られるようになり、「泳げる子」と「泳げない子」の差がはっきりしてきます。どの子も無理なく達成感を味わえる活動設計が必要です。
● 「できた!」の積み重ねがやる気を引き出す
中学年の子どもたちは、自分で挑戦してうまくいくと、大きな自信になります。アクティビティを通して「自分にもできた」という喜びを感じさせることが、泳ぎへの意欲を高めるカギです。
3. 泳力アップにつながるアクティビティ10選
以下から、授業にすぐ取り入れられるアクティビティを順に紹介していきます。活動名ごとに、ねらい・準備・やり方・時間・指導ポイントを詳しく解説します。
① けのびチャレンジレース
ねらい:水に浮く感覚・けのびの姿勢の習得
準備物:なし(プールのラインがあると便利)
所要時間:10〜15分
やり方:
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プールの壁に並び、手を伸ばしてけのびの姿勢をつくる。
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合図でけのびスタート。誰が一番遠くまで進めるかを競う。
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進んだ距離を記録したり、クラスで応援し合いながら行う。
指導のコツ・安全配慮:
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スタートの姿勢を丁寧に指導する(頭を入れ、足をそろえる)。
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滑って転倒しないよう、プールサイドでの移動はゆっくり。
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バディを組ませ、安全確認をお互いに行わせる。
② バタ足トンネルくぐり
ねらい:バタ足の強化・水中での姿勢保持
準備物:ビート板、フラフープ(またはトンネルの代用になるもの)
所要時間:15分
やり方:
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数人がフラフープを持って水中に立ち、「トンネル役」になる。
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残りの子がバタ足でトンネルをくぐり抜ける。
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交代しながら全員が両方の役を経験。
指導のコツ・安全配慮:
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トンネルの高さは子どもが無理なくくぐれる位置に。
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バタ足で突っ込まないよう、合図で一人ずつスタート。
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活動の前後に「足を水面近くで動かす」コツを教える。
③ ビート板スラローム泳ぎ
ねらい:ビート板を使った姿勢・方向転換の練習
準備物:ビート板、浮き具やコーンで作ったスラロームの道
所要時間:15分
やり方:
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プールにジグザグのコースをつくる(間隔は2m程度)。
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子どもたちはビート板を持ち、バタ足でコースを泳ぐ。
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タイムを計ったり、競走形式にしても盛り上がる。
指導のコツ・安全配慮:
④ 浮き島リレー
ねらい:バランス感覚・協力・体幹の強化
準備物:大型のビート板や浮きマット
所要時間:15分〜20分
やり方:
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チームに分かれ、スタート地点に並ぶ。
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浮きマットに乗って手足を使って前進。ゴールで折り返して戻る。
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次の人に交代して、リレー形式で競争。
指導のコツ・安全配慮:
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浮きマットから落ちたら、プールサイドに戻ってやり直すルールに。
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プールの深さが浅めの場所で実施。
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バディで確認し合いながら活動し、事故防止に努める。
⑤ 宝さがしゲーム(水中ビンゴ)
ねらい:潜水の練習・息ごらえ・集中力アップ
準備物:水に沈むカラーボールや数字カードなど
所要時間:15分
やり方:
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プールの底に宝物(カラーボールやカード)を沈めておく。
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指定された色や数字を、潜って探して持ってくる。
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ビンゴ形式にして3つ揃えば勝ち、などのルールを加えると楽しい。
指導のコツ・安全配慮:
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水深は浅めの場所を使う(安全な範囲で)。
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無理に潜らないように声をかけ、苦手な子には水面近くの宝を配置。
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目の届く人数で行い、常に教員が動いてチェックする。
⑥ スイスイうきわレース
ねらい:呼吸の練習・ビート板が苦手な子も楽しめる
準備物:うきわ、ビート板(代替可)
所要時間:10〜15分
やり方:
-
うきわを腰に付けて、手足で前進。
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息を吸う・吐くのタイミングを意識しながら泳ぐ。
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レース形式にしたり、距離を決めてタイムトライアルをする。
指導のコツ・安全配慮:
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呼吸のポイントを説明してから行う。
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うきわが外れたときのために、近くに教員が常に配置されること。
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スピードより「正しい呼吸」ができたかを評価。
⑦ 水中じゃんけんラリー
ねらい:楽しく繰り返し泳ぐことで持久力とリズム感を育む
準備物:特になし(ビート板使用可)
所要時間:15分〜20分
やり方:
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プールを3つのエリアに分け、A地点(スタート)、B地点(中央)、C地点(反対側)とする。
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子どもたちを2チームに分けて、A地点とC地点にそれぞれ並ばせる。
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A地点とC地点の先頭の子が、それぞれB地点をめざして泳ぐ。
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B地点で出会ったら、水中で手だけを使って「じゃんけん」をする。
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勝った子はそのまま自分の進行方向へ進み、負けた子は自分の出発地点に戻って再挑戦する。
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あいこの場合は、どちらの子も元の地点に戻る。
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B地点に着いたが相手がいない場合は、次の子が来るまでB地点で待機する。
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これを繰り返して、できるだけ多くの回数じゃんけんを行う。
指導のコツ・安全配慮:
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出発のタイミングは教師が調整し、ぶつからないように配慮する。
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泳ぐ距離は10mや15mなど、学級の泳力に応じて調整する。
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息継ぎが難しい子にはビート板使用を認める。
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じゃんけんは水中で静かに「手だけ」で行い、声出しを強制しない。
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接触事故を防ぐため、じゃんけん時には一定の距離を保たせるように指導する。
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疲れている様子の子には「無理をしないように」と声をかけ、必要に応じて休憩や見学を促す。
⑧ ペットボトル浮きボート
ねらい:浮力の理解・チームでの工夫・創作活動との融合
準備物:500ml〜1Lの空ペットボトル多数、ビニールテープ
所要時間:30分(作成)+15分(使用)
やり方:
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事前にグループで「浮くボート」を設計・作成。
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プールで実際に浮かせ、上に座れるか挑戦。
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最も浮いたチームにポイント。
指導のコツ・安全配慮:
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使用後はペットボトルの回収・消毒を忘れずに。
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頭から乗らないように指導。常に横から、足から乗る。
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作成段階で安全設計の視点を持たせると学びも深まる。
⑨ タイムトライアルクロール
ねらい:泳力の自己記録更新・フォームの確認
準備物:ストップウォッチ、記録カード
所要時間:15分〜20分
やり方:
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クロールでの25mまたは10mのタイムを測定。
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記録カードに記入し、前回との比較で成長を実感。
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フォームのポイント(顔を水につける、息継ぎ)を個別にチェック。
指導のコツ・安全配慮:
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子どもの体力や泳力に応じて距離を変える。
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フォームを崩して無理に速く泳がないように。
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競争より「自分との勝負」であることを伝える。
⑩ ペアでチャレンジ!背面うきわ泳ぎ
ねらい:バディ活動・背面浮き・協力して泳ぐ経験
準備物:うきわ(またはビート板2枚)
所要時間:10〜15分
やり方:
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2人1組で背中合わせになり、うきわを1つ抱えて背面浮き。
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息を合わせてゆっくり後ろ向きに進む。
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ゴールを決めて到達タイムを競う。
指導のコツ・安全配慮:
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息を合わせることの大切さやコミュニケーションの練習にもなる。
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背面浮きに不安がある子には、教員がそばにつく。
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呼吸が苦しくなったときのサイン(手を上げる)を事前に確認。
4. 指導時の安全配慮と注意点
小学校中学年の水泳指導では、アクティビティの楽しさ以上に安全面への配慮が重要です。特に中学年は活動量が増え、スピードや競争心も強まる時期です。その分、指導者が意識的にルールを共有し、安全管理を徹底する必要があります。
【担任時代の体験から:安全への取り組み】
私が現場で水泳指導をしていた頃、毎年「プールの神様にお祈りをする時間」を設けていました。子どもたちにも「今日はみんなの命を守ることを最優先にする日」というメッセージを込めてスタートを切ることで、自然と集中力が高まり、ルールの大切さを実感させることができました。
また、必ずバディ(2人組)を組ませることを基本にしていました。自分の行動に責任を持つだけでなく、相手の存在を意識し、「もしも」の時に声をかけ合える体制が子どもたちの安全意識を育てます。
【教師が特に気をつけたいこと】
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名簿による入水・退水チェック:入水前後に必ず人数確認。バディで点呼も行い、Wチェックを徹底。
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活動中は常に移動しながら全体を確認:プールサイドでの立ち位置を固定せず、常に全員を見渡せるよう移動する。
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深さの把握と活動配置:水深によってできる活動が異なります。泳力に応じて適切な位置取りをするように。
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「無理をしない」ことの大切さを常に声かけ:競争や勝敗に気を取られすぎると、無理をしてしまう子が出ます。常に「楽しみながら安全に」がベースであることを共有しましょう。
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用具の事前点検:ビート板やうきわなどの備品に破損がないかを事前に確認。
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天候や水温チェック:気温や水温が低い日は無理に活動をせず、短時間で切り上げるなど柔軟に対応すること。
5. まとめ
水泳指導は、子どもたちにとって「生きる力」につながる大切な教育のひとつです。特に中学年では、基本的な泳力を楽しいアクティビティを通して身につけさせたい時期です。今回紹介した10のアクティビティは、ただ泳ぐだけでなく、バランス感覚、チームワーク、潜水能力、呼吸の仕方など多角的な能力育成につながります。
そして何よりも忘れてはいけないのが、「命を預かっている」という教師としての責任です。
バディ制や事前の声かけ、安全確認を徹底することで、子どもたちは安心して水の活動に取り組むことができます。
先生方の創意工夫と情熱が、子どもたちの水泳の楽しさと技術向上につながりますように。
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