
こんにちは。晴田そわかです。
今回の記事では《AIに負けない!小学生と考える「自分だけの読書感想文」が書けるようになる3つのステップ》について紹介させて頂きます。
- 導入:最強の敵か、最高の道具か。AI時代の読書感想文とどう向き合う?
- 第1章:AIは物知り博士。でも、君だけの「おいしい!」は語れない
- 第2章:3ステップで完成!AI時代の「自分だけの読書感想文」執筆術
- 結論:読書感想文は、未来の自分を作る「思考のジム」である
導入:最強の敵か、最高の道具か。AI時代の読書感想文とどう向き合う?

学校の宿題の定番であり、多くの人が一度は頭を悩ませる課題。そう、「読書感想文」です。
「本を読むのは好きだけど、感想文って何を書けばいいかわからない…」 「原稿用紙を前にすると、時間だけが過ぎていく…」
毎年、多くの小学生が、そしてかつて小学生だった大人たちも、同じ悩みを抱えてきました。しかし、現代の私たちには、かつてなかった選択肢があります。
「AIにやらせちゃえば、一瞬で終わるんじゃない?」
ChatGPTのような驚くほど賢いAIの登場は、面倒な課題からの「救世主」に見えるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか? スイッチひとつで完成した「それらしい文章」に、君の心は宿っていますか?
この記事は、単なる「感想文の書き方教室」ではありません。AI時代だからこそ、ますます価値が高まる**「自分だけの言葉で、深く考える力」**を、読書感想文という最高のトレーニングを通して身につけるための、本格的な冒険の書です。
ここで手に入れるのは、課題を終わらせるための小手先のテクニックではありません。これからの人生でずっと君を助けてくれる、最強の「考える武器」です。小学生も大人も、一緒に「書くこと」の本質を探る旅に出ましょう。
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第1章:AIは物知り博士。でも、君だけの「おいしい!」は語れない

3つのステップを旅する前に、まずAIが一体何者で、何ができて何ができないのか、その正体をしっかり見ていきましょう。
AIの正体:レシピは完璧、でも“食いしん坊”じゃない博士
生成AIを例えるなら、**「世界中の料理のレシピをすべて暗記している、物知りだけど“食いしん坊”じゃない博士」**のようなものです。
この博士に「カレーの作り方を教えて」と聞けば、材料から手順まで、完璧なレシピを教えてくれます。スパイスの歴史や、インドと日本のカレーの違いまで解説してくれるでしょう。なぜなら、世界中の料理本や食レポ記事をすべて読んでいるからです。
しかし、その博士に「あなたが一番おいしいと感じたカレーはどんな味でしたか?」と聞いても、答えることはできません。なぜなら、博士は一度もカレーを「食べた」ことがないからです。
スパイスの香りに胸を躍らせたことも、熱々のカレーを「ハフハフ」しながら食べた経験も、家族みんなでカレーを囲んだ温かい食卓の記憶もありません。博士が語れるのは、あくまでデータとして知っている「言葉」だけ。そこには、**食べた人にしかわからない「本当の感動」や「個人的な体験」**がないのです。
AIの文章と君の文章、何が違う?
AIが書く読書感想文も、これとまったく同じです。AIは物語のあらすじや登場人物の関係性を完璧に説明できます。しかし、それは「レシピ」を説明しているに過ぎません。
例えば、友達との友情を描いた物語について、AIはこう書くかもしれません。
【AIが書いた感想文の例】 この物語は、困難を通じて二人の友情が深まっていく様子を描いており、友情の大切さを教えてくれる。
とても正しくて、上手な文章です。しかし、君ならどう書きますか?
【君が書く感想文の例】 主人公が、雨の中ずぶ濡れになった友達に、自分の傘をそっと半分かしてあげた場面で、胸が熱くなった。友達の肩が濡れているのに気づかないフリをする優しさに、本当の「友達」ってこういうことなんだと思った。
AIが書くのは、誰もが知っている正論です。一方で、君が書くのは、君自身の心が「じーん」とした瞬間の、具体的な情景です。その手触りのある言葉こそが、人の心を動かすのです。
読書感想文で求められているのは、完璧な「レシピ解説」ではありません。物語を味わったあなただけの「おいしい!」という感動を、君自身の言葉で伝えること。それこそが、AIには絶対にできない、価値あることなのです。
第2章:3ステップで完成!AI時代の「自分だけの読書感想文」執筆術

それでは、いよいよ本題です。物語という料理を、君だけの言葉で最高のフルコースに仕上げるための、とっておきの3つのステップをご紹介します。
ステップ1:読書は宝探し!「心のアンテナ」と「思い出ポケット」を準備せよ
まず、読書に対する考え方を少しだけ変えてみましょう。本を読むのは、静かに文字を追いかけるだけの時間ではありません。物語の世界に飛び込み、心を揺さぶる「宝物」を探し出す、エキサイティングな冒険です。
1. 心の動きをキャッチする「心のアンテナ」を立てよう!
冒険には、宝物を見つけるための道具が必要です。用意するものは**「本」と「付箋」**。これが君だけの「心のアンテナ」になります。
本を読みながら、少しでも心が「ピッ」と反応した場所に、アンテナ(付箋)を立てていきましょう。
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**「うわ、面白い!」「どうなるの!?」**とワクワクした場所
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**「かわいそう…」「頑張れ!」**と登場人物に感情移入した場所
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**「え、なんでそうなるの?」「自分ならこうするのに!」**とツッコミを入れたくなった場所
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**「この表現、なんだか好きだな」**と心に引っかかった言葉
どんな小さな反応でも構いません。アンテナを立てることで、「自分は物語のこういう部分に心を動かされるんだな」という、自分自身の心のクセや特徴が見えてきます。これは、自分という人間を深く知るための、とても大切な手がかりになります。
2. 物語と自分をつなげる「思い出ポケット」を探ろう!
アンテナが立った場所で、今度は自分自身の「思い出ポケット」を探ってみましょう。物語を読んで、なぜか昔の記憶がよみがえってくることはありませんか?
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主人公が悔し涙を流す場面を読んで、逆上がりができなくて一人で泣いた日のことを思い出した。
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登場人物が秘密を打ち明ける場面を読んで、親友と初めて秘密を共有した時のドキドキを思い出した。
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壮大な景色の描写を読んで、家族旅行で見た、あの夕焼けのことを思い出した。
この、物語と自分の記憶が「あっ、繋がった!」という瞬間こそ、感想文の最も重要な材料になります。アンテナ(付箋)の端っこに、思い出したことをキーワードでメモしておきましょう。(例:「逆上がりの練習」「親友との交換日記」)
この「思い出ポケット」から取り出したエピソードは、世界中の誰も持っていない、君だけのオリジナルな宝物なのです。
【保護者の方へ】 お子さんが本を読み終えたら、「どの場面が一番好きだった?」「なんでそう思ったの?」と問いかけるだけでなく、「その場面を読んで、何か思い出したことある?」と質問してみてください。この問いかけは、物語の抽象的なテーマを、お子さん自身の具体的な体験へと結びつける「橋渡し」の役割を果たします。この「自分事化」の力は、国語だけでなく、社会や理科の学習、さらには将来社会の問題を考える上でも不可欠な思考力となります。
ステップ2:感想をフルコースに!「自分だけの設計図」を描こう

さて、たくさんの宝物(付箋)が集まりました。しかし、宝物はただ並べただけでは、ただのガラクタの山に見えてしまうかもしれません。ここからは、集めた宝物を最高の「感想文フルコース」に仕上げるための「設計図(レシピ)」を作っていきます。
難しく考える必要はありません。このコース料理の順番に沿って、宝物を並べていくだけです。
【感想文フルコース・魔法のレシピ】
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《前菜 / アペタイザー》 この本との出会い フルコースの始まりは、軽い一皿から。なぜこの本を読もうと思ったのか、きっかけを書きましょう。「表紙のイラストがカッコよかったから」「先生におすすめされたから」など、正直な気持ちで大丈夫。これが読者の食欲をそそる、最初の一口になります。
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《メインディッシュ》 感動の核心と自分だけのスパイス ここがコースの主役、一番おいしい部分です。二つのプレートに分けて考えましょう。
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① 一皿目:物語のハイライト アンテナを立てた中で、君の心が最も大きく動いた場面はどこでしたか? その場面で「何が起きたか」を簡単に紹介し、**「なぜ」**心が動いたのかを、自分の言葉で説明します。
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② 二皿目:自分だけのスパイス ここが腕の見せ所! ステップ1の「思い出ポケット」から取り出したあなただけのエピソードを、一皿目のハイライトに振りかけます。その場面を読んで、どんな自分の体験を思い出し、何を感じたのかを具体的に書きましょう。この「自分だけのスパイス」が、ありきたりな感想文を、誰も真似できないあなただけの味に変えてくれます。
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《デザート》 新しい自分への変化 おいしい料理を食べ終えた後の、心地よい満足感。この読書という食事を通して、あなたは何を学び、どう変わりましたか? 読む前と後で、考え方や気持ちにどんな変化があったかを書き記します。そして、「これからこうしていきたい」という、未来への希望を添えれば、最高のデザートの完成です。
この設計図があれば、途中で何を書けばいいか分からなくなることはありません。自信を持って、君だけのフルコースを組み立てていきましょう。
ステップ3:言葉に命を吹き込め!君の「声」で物語を語ろう

設計図が完成したら、いよいよ文章を紡いでいきます。上手な文章や、難しい言葉を使う必要は全くありません。大切なのは、君の「声」が聞こえてくるような、生き生きとした言葉で書くことです。
作戦1:友達に語る「おしゃべり作戦」
原稿用紙を前にすると緊張してしまうなら、一度忘れてしまいましょう。そして、一番仲の良い友達に「ねえ、この本、めっちゃ面白かったんだけど、ちょっと聞いてよ!」と、夢中で話しかけるように書いてみてください。「~だと思いました」という固い言葉だけでなく、「~って感じたんだ」「マジか!って叫びそうになった」のような、普段使っている言葉が、文章にリズムと熱量を与えてくれます。
作戦2:心はカメラマン!「なりきり実況作戦」
人の心を動かすのは、説明ではなく「描写」です。心が動いた場面を思い出し、自分がその場にいるカメラマンになったつもりで、見たもの・聞こえたもの・感じたことを実況中継してみましょう。
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「悲しかった」 → 「目の前がじわっと滲んで、主人公の顔がぼやけて見えた」
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「嬉しかった」 → 「胸の奥から、あたたかい温泉が湧き出てくるみたいだった」
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「驚いた」 → 「まるで時間が止まったみたいに、周りの音が何も聞こえなくなった」
このように五感を使って書くことで、読者はまるでその場にいるかのような臨場感を味わうことができます。
作戦3:最後に決める!「必殺技タイトル」
タイトルは、あなたの感想文の「顔」であり、すべての想いが詰まった「必殺技」です。本文をすべて書き終えて、一番伝えたかったことがハッキリしてから考えるのがコツ。
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問いかけ型: 『〇〇』が教えてくれた、本当の「強さ」とは何か
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宣言型: 僕はもう、昨日の僕じゃない。――『〇〇』を読んだあの日
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比喩型: 心のコンパスを手に入れた物語、『〇〇』
読んだ人が「お、これは一体どんな感想文なんだ?」と、思わず本文を読みたくなるような、あなただけの最高の必殺技を考え出してください。
【保護者の方へ】 お子さんが書き終えた文章は、ぜひ声に出して読んでもらってください。黙読では気づかなかった文章のリズムの悪さや、不自然な言い回しが、音読することで発見できます。また、「あなた自身の言葉で書けていて、とてもいいね」と、内容そのものを具体的に褒めてあげることが、お子さんの「書くこと」への自信と意欲を育みます。
結論:読書感想文は、未来の自分を作る「思考のジム」である

AIがどんなに進化しても、学校の宿題から「読書感想文」がなくならないとしたら、それはきっと、この課題にAI時代を生き抜くための重要なヒントが隠されているからです。
ステップ1で、自分の心の動きに敏感になる「アンテナ」を立てました。 ステップ2で、情報と自分の体験を結びつけて意味を見出す「設計図」を作りました。 ステップ3で、それを自分だけの「言葉」で表現する技術を学びました。
これは、単なる感想文の書き方ではありません。 「問いを立て、情報を集め、自分なりに解釈し、言葉で表現する」 という、これからの社会で最も求められる、創造的なプロセスの縮図です。
AIが瞬時に「正解らしきもの」を提示してくれる時代だからこそ、「あなたはどう思うの?」という問いの価値は、ますます高まっていきます。その時、自分の体験に基づいた、自分の言葉で考えを語れる人は、きっと未来のどんな場所でも輝くことができるでしょう。
読書感想文は、そのための最高の「思考のジム」。物語の登場人物たちと心を重ね、表現の汗を流すことで、君の「考える力」は、しなやかに、そして力強く鍛えられていきます。
あなたが原稿用紙に綴る一文字一文字が、未来の自分への最高の贈り物になることを、心から願っています。
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